「そんな気分じゃないの」:笑いものになることへの恐怖心は、ユーモア気質形質の方が神経発達症と診断されることより、より良い先行指標となる
"Not in the mood": The fear of being laughed at is better predicted by humor temperament traits than diagnosis in neurodevelopmental conditions.
Treichel N(1), Dukes D(2), Meuleman B(3), Van Herwegen J(4), Samson AC(5).
Author information:
(1)Institute of Special Education, University of Fribourg, Fribourg, Switzerland.
(2)Institute of Special Education, University of Fribourg, Fribourg, Switzerland; Swiss Center for Affective Sciences, University of Geneva, Geneva, Switzerland.
(3)Swiss Center for Affective Sciences, University of Geneva, Geneva, Switzerland.
(4)Department of Psychology and Human Development, UCL Institute of Education, London, UK.
(5)Institute of Special Education, University of Fribourg, Fribourg, Switzerland; Swiss Center for Affective Sciences, University of Geneva, Geneva, Switzerland; Faculty of Psychology, Unidistance Suisse, Brig, Switzerland. Electronic address: andrea.c.samson@gmail.com.
Res Dev Disabil. 2023 Apr 22;137:104513. doi: 10.1016/j.ridd.2023.104513. Online ahead of print.
背景:自閉症患者は、定型発達をした人に比べて笑い恐怖症(gelotophobia:笑いものになることへの恐怖心)を発達させやすいと思われる研究結果がある。本研究の目的は、先行研究で示された自閉症患者に見られる高いレベルの笑い恐怖症の存在を再確認すること、そして対象をダウン症候群やウィリアムズ症候群へと拡大して、個人差や社会的障害や影響を受けた素因やユーモア気質との関連を調べることである。
手法:年齢が5歳から25歳の自閉症患者(N=48)、ダウン症候群患者(N=139)、ウィリアムズ症候群患者(N=43)の両親に質問票を配布した。
結果:ダウン症候群患者の6%やウィリアムズ症候群患者の7%という少ない患者数に比べて、自閉症患者は少なくとも軽度の笑い恐怖症を経験することが多い(45%)。興味深いことに、ユーモア気質が無いこと(深刻さや不機嫌さ)が笑い恐怖症の強い先行指標になることが明らかとなった。この関係はグループ間の差異よりも強くさえある。
結論:結果として、笑い恐怖症は自閉症患者にとって特別な関心事項であることが確認された。一方でダウン症候群やウィリアムズ症候群の患者は恐怖心が強まることからは保護されているようにみえる。さらに、笑い恐怖症は病気の診断そのものよりも、深刻さや易刺激性の高さにより強い関連を持っていることが示された。
(2023年4月)
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