ウィリアムズ症候群の不安症に対してスマートフォンアプリを利用した治療の効果の評価:一事例実験の実施計画書
Evaluation of the Effectiveness of Therapy for Anxiety in Williams Beuren Syndrome Using a Smartphone App: Protocol for a Single-Case Experiment.
Lehman N(1)(2), Trouillet R(1), Genevieve D(2)(3).
Author information:
(1)EA4556 Laboratoire Epsylon, Universite Paul Valery Montpellier 3, Montpellier, France.
(2)Genetic Department, Montpellier Hospital, Montpellier, France.
(3)Institut National de la Sante et de la Recherche Medicale U1183, Montpellier University, Montpellier, France.
JMIR Res Protoc. 2023 Apr 3;12:e44393. doi: 10.2196/44393.
背景:ウィリアムズ症候群(WS-OMIM 194050, オーファネットID: Orpha 904)はほとんどの症例に知的発達症を伴う希少疾患である。ウィリアムズ症候群は母集団に比べて不安症になり易いリスクが8倍である。不安症を解決する治療法は少なく、非薬理学的な療法は特に少ない。しかし、認知行動療法(cognitive behavioral therapy :CBT)は不安症を効果的に管理できることが分かってきており、知的発達症の患者に対しても適用可能である。
目的:本論文は、希少疾患の患者向けに設計された研究方法論に基づき、ウィリアムズ症候群と不安症を併発した患者向けのデジタル的にサポートされた認知行動療法の効果を評価するための実験計画を記述する。
手法:ウィリアムズ症候群と不安症を併発した患者5人に参加してもらった。彼らは9セッションの認知行動療法を受けた。被験者は毎日デジタルアプリを使って不安に関する自己評価を行った。アプリは生態学的であり彼らの不安を繰り返し評価することができる。このデジタルアプリは療法の各セッションを支援する。不安症と生活の質(quality of life)をプログラムの前後、および3か月の経過観察後に外部的に評価する。これは一事例治療研究実験であり、判断基準の計測を繰り返す多重ベースデザインを採用する。この実験計画は内部的な有効性が高いことが保証されており、今後の臨床試行への貢献を確定させることに役に立つ。
結果:2019年9月に参加者の募集とデータ採取を開始し、2023年春には研究結果の応用展開ができると予想している。
結論:本研究はウィリアムズ症候群と不安症を併発した患者向けのデジタル的にサポートされた認知行動療法の効果を評価することを可能にする。最終的に、このプログラムは希少疾患向けの非薬理学的な療法の1事例として利用可能となる。
(2023年5月)
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