コロナの大流行時にウィリアムズ症候群とダウン症候群の患者における不安、関心、感情の制御:世界規模の研究



Anxiety, concerns and emotion regulation in individuals with Williams syndrome and Down syndrome during the COVID-19 outbreak: a global study.

Sideropoulos V(1), Sokhn N(2)(3)(4), Palikara O(5), Van Herwegen J(6), Samson AC(7)(4).
Author information:
(1)Department of Psychology and Human Development, IOE, UCL's Faculty of Education and Society, 25 Woburn Square, London, UK. v.sideropoulos@ucl.ac.uk.
(2)Department of Psychology, University of Fribourg, Fribourg, Switzerland.
(3)Eye and Brain Mapping Laboratory (iBMLab), Department of Psychology, University of Fribourg, Fribourg, Switzerland.
(4)Faculty of Psychology, UniDistance Suisse, Brig, Switzerland.
(5)Department of Education Studies, University of Warwick, Coventry, UK.
(6)Department of Psychology and Human Development, IOE, UCL's Faculty of Education and Society, 25 Woburn Square, London, UK.
(7)Institute of Special Education, University of Fribourg, Fribourg, Switzerland.
Sci Rep. 2023 May 20;13(1):8177. doi: 10.1038/s41598-023-35176-7.

神経発達症患者はコロナの大流行時に不安のレベルが高まった経験があると報告されている。我々の研究は、コロナの感染流行の第一波(2020年4月〜2020年5月)の期間に世界模簿でダウン症候群患者(N=557;平均年齢=16.52;女性233)とウィリアムズ症候群患者(N=247;平均年齢=18.43;女性113)がどのような経験をしたかを記録した。マルチレベル線形混合回帰分析を用いて、コロナ第一波の期間における、(a)ウィリアムズ症候群とダウン症候群の患者の不安に関しての両親の報告、(b)これらの患者の関心事項、(c)彼らが用いた感情制御方法と効果を研究した。神経発達症患者の年齢、症状の形態、時間など不安の予測因子を研究した。ウィリアムズ症候群患者はダウン症候群患者に比べて経験した不安のレベルが高く、神経発達症患者の年齢が高いほどより強い不安を経験していた。関心に関しては、ウィリアムズ症候群患者は大部分の関心事項に関してグループ効果が高いスコアを示した。関心について性差はなかったが、日常性の喪失、退屈感、サポート機関からの援助の喪失、家族間の葛藤以外についての関心は、年齢と共に増加した。最後に、ウィリアムズ症候群患者は感情制御方法に関して適切あるいは不適切な方法など豊富で変化に富んだ使い方をしており、有意なグループ効果が観察された。感情制御方法の効果についてグループ効果は特定できなかった。我々が得た結果によれば、ウィリアムズ症候群患者は高いレベルで不安を感じやすいが、同時に高いレベルの関心は年齢に依存していることが示された。同時に、ウィリアムズ症候群患者は様々な感情制御方法をより高い頻度で用いるが、これらの方法が必ずしも彼らのためにならないことがある。得られた知見が、神経発達症患者全般に対する不安の特定や支援に関連する影響を議論する。

(2023年5月)



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