コンピュータを利用した誤信念課題がウィリアムズ症候群患者のメンタライジング能力に影響を与える
Computerized False Belief Tasks Impact Mentalizing Ability in People with Williams Syndrome.
Hsu CF(1), Rao SY(1).
Author information:
(1)School of Foreign Languages, Laboratory for Language Pathology and Developmental Neurosciences, Hunan University, Lushan Road (S), Yuelu District, Changsha 410082, China.
Brain Sci. 2023 Apr 26;13(5):722. doi: 10.3390/brainsci13050722.
ウィリアムズ症候群患者は超社会性、言語の流暢さ、優れた顔認識能力を特徴とし、これは社会性モジュールに起因すると予想される。正常、遅延、異常な行動を記した2次元絵画を用いたウィリアムズ症候群患者のメンタライジング能力に関する先行研究では、混合した結果が得られている。このことから、本研究は誤信念を、構造化されたコンピュータアニメーションで表現した課題を用いてウィリアムズ症候群患者のメンタライジング能力を検査し、この集団において他者のこころに関する推論が向上しているかどうかを調べた。被験者に予期せぬ場所や内容が変化するアニメーションを見せた。各アニメーションを見終わった後、被験者は4種類の質問、すなわち、キャラクターの特定、現実性、記憶、誤信念に関して答えを求められた。彼らの反応を記録し分析した。誤信念の理解は健常児では4歳で見られるが、ウィリアムズ症候群の子どもでは誤信念の理解が増強されていた(暦年齢で5.9歳になるまで)。これは構造化されたコンピュータアニメーションを見ることで心の理論が進歩したことを示唆している。この年齢は、誤信念課題をパスすることで心の理論を検査した先行研究(暦年齢9歳)より低年齢であり、課題をパスする年齢(暦年齢17.11歳)よりも大幅に若い。構造化されたコンピュータアニメーションはウィリアムズ症候群患者のメンタライジング能力をある程度向上させた。定型発達した対照群と比較して、ウィリアムズ症候群患者は誤信念課題を処理する能力の発達レベルが低い。本研究はウィリアムズ症候群患者に対するコンピュータ化された社会的能力の介入方法の開発に教育的影響を与える。
訳者注:メンタライジング=自身や他者の心の状態を想像して想定する能力
(2023年6月)
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