ウィリアムズ症候群における「図と地」の多角的検討



Multidimensional Investigation of “Figure and Ground” in Williams Syndrome

根津 知佳子(日本女子大学家政学部児童学科教授 人間生活学研究科人間発達学専攻)
和田 直人(日本女子大学家政学部児童学科教授 人間生活学研究科人間発達学専攻)
安藤 朗子(日本女子大学家政学研究科児童学専攻)
甲斐 聖子 (日本女子大学家政学研究科児童学専攻)
吉澤 一弥(日本女子大学名誉教授)
日本女子大学大学院紀要 家政学研究科・人間生活学研究科 第 29 号 261〜269ページ

吉澤・根津ら(2020)は,Williams Syndrome を対象とした投影法心理検査を用いた解析と解釈を通して,第 7 染色体異常に起因する小児科領域の難治疾患である Williams Syndrome やその家族の支援方法として,芸術療法(音楽療法)によるパフォーマンスが効果的であるという方向性を見出した。本稿では,まず音楽療法家の Boxill, E. H. に依拠したモデルに基づいた音楽活動を報告した。次に,美術教育・構成学,絵本学・アニメーション学および臨床心理学の領域から活動を提案した。精神医学の視座からは,Freud, S., Reich, W., Perls, F. S., そして Boxill, E. H. に至る精神療法の基本理念と技法の変遷を概観し,「図と地(figure and ground)」の概念の拡張性について論じた。このように実践と理論の両面から検討・考察することで,Williams Syndrome における支援の本質を見極め,今後の活動に生かせればと考える。

(2023年7月)



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