ウィリアムズ症候群の子どもの心配への取り組み:新しい遊戯及び豊富なユーモアへの暴露療法を用いたアプローチ状況におけるセラピストと子どもの行動



Addressing fears of children with Williams syndrome: therapist and child behavior in the context of a novel play-and humor-infused exposure therapy approach.

Young BN(1), Mohanty E(1), Levine K(2), Klein-Tasman BP(1).
Author information:
(1)Child Neurodevelopment Research Lab, Department of Psychology, University of Wisconsin-Milwaukee, Milwaukee, WI, United States.
(2)Department of Psychiatry, Harvard Medical School, Boston, MA, United States.
Front Psychol. 2023 Aug 3;14:1098449. doi: 10.3389/fpsyg.2023.1098449. eCollection 2023.

ウィリアムズ症候群の子どもの多くは心配や恐怖症に苦しみ、これが日常生活に重大な影響を与えている。しかし、ウィリアムズ症候群の子どもの心配や恐怖症を対象とした行動的治療の影響を取り上げた文献は数少ない。本研究は治療風景を記録したビデオを観察しコード化したデータを使って、心配や恐怖症の治療として遊戯及び豊富なユーモアへの暴露療法を受けた子どものウィリアムズ症候群患者4人の治療への反応と、セラピストが使用した遊戯やユーモア、及びその関係のパターンを調べた。セラピストの行動(提供した遊戯やユーモアの使用/不使用、治療に用いた刺激のタイプ、怖い刺激に対する注意の種別(受動的あるいは誘導された)、治療に対する両親の自発的な参画)とともに、こどもの正・負・中立な行動(言語および行動) を用いてセッションをコード化した。セラピストと子ども行動の間の時間パターンをラグ系列分析(lag sequential analysis)を用いて分析した。その結果、4人中2人の子どもが今回提供した遊戯及び豊富なユーモアへの暴露療法を行った後に怖い刺激に対する耐性が改善しており、残りの2名の被験者も怖い刺激に対する耐性に進歩が見られ、セッションを通じて怖い刺激に対して正の行動が増えることが見えた。その他の知見として、子どもの不安レベルに応じたセラピストの寄り添いパターンは治療暴露の段階を柔軟に調整する努力の成果に表れていた。セラピスト主導で誘導された注意行動やセラピストが用いた語りかけや予備刺激の働きかけは怖い刺激を受け続けている間の子どもの耐性や正の行動と関連があった。本研究の限界は、サンプルサイズが非常に小さいこと、治療の期間が短いこと、単一対象という研究デザインであること等であり、その結果として本知見を一般化することには制限がある。本研究の意味や今後の方向を合わせて議論する。

(2023年9月)



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