ウィリアムズ症候群の人の不安、恐怖、恐怖症



Anxiety, Fears and Phobias in Persons with Williams Syndrome

Elizabeth Dykens, Ph.D. UCLA
Neuropsychiatric Institute
"Heart to Heart", Volume 17 Number 3, September 2000, Page 3

ウィリアムズ症候群は独特の認知-言語特徴と著しい社会性を行動面の特徴としてい る。他の発達遅滞の人と比べて、ウィリアムズ症候群の子どもや成人には不安と恐怖レベ ルが昂じることも知られている。2部から構成される本論文では97人のウィリアムズ症候 群の子どもや成人の不安、恐怖、恐怖症の評価を行った。

ウィリアムズ症候群のグループは対照群に比べて、恐怖を感じることが多い、頻繁に 恐怖を感じる対象が広い、恐怖に起因する社会不適合(social adaptive impairment)の度 合いが高いなどが顕著である。ウィリアムズ症候群の被験者の55%から95%に41種類の 異なる恐怖か見られたのに対し、一般的な精神遅滞の人からなる対照群では2件が頻繁に みられるだけであった。一般的に言ってウィリアムズ症候群の被験者は彼らの両親に比べ てもより多くの恐怖を報告する。

被験者の50%から60%に一般的かつ将来の出来事に対する不安(generalized and anticipatory anxiety)が見られる一方、6ヶ月以上恐怖が持続する特定の恐怖症は96%と もっと広範囲に見られ、84%が恐怖を避けたり耐えることに苦痛を感じている。この高い発 生率は対照群における恐怖症の低い発生率(1%未満から4%)と対照を成す。

これらの研究からウィリアムズ症候群は精神遺伝学研究のモデル疾患になっており、 この複雑な発達障害を持つ人や持たない人の不安に対して、遺伝子や環境がどのように影 響しているかを理解することを目的としている。

(本論文は、2000年に開催されたウィリアムズ症候群に関する国際専門家会議で発表され た中から選ばれた論文の概要である。)

(2001年1月)



目次に戻る