ウィリアムズ症候群の不安症治療に用いたブスピロン:遡及的カルテ審査研究
Buspirone for the treatment of anxiety in Williams syndrome: a retrospective chart review study.
Shin E(1)(2), Renzi D(1)(3), Canales C(1)(3), Ravichandran C(1)(3)(4)(5), McDougle CJ(1)(3)(6), Thom RP(1)(3)(6).
Author information:
(1)Lurie Center for Autism, Lexington, MA, USA.
(2)Haverford College, Haverford, PA, USA.
(3)Massachusetts General Hospital, Boston, MA, USA.
(4)McLean Hospital, Belmont, MA, USA.
(5)Department of Pediatrics, Harvard Medical School, Boston, MA, USA.
(6)Department of Psychiatry, Harvard Medical School, Boston, MA, USA.
Expert Opin Pharmacother. 2024 Jan 22:1-8. doi: 10.1080/14656566.2024.2308678. Online ahead of print.
背景:ウィリアムズ症候群は希少遺伝子疾患であり合併症として不安症の有病率が高い。ウィリアムズ症候群の不安症に対する根拠のある薬物理学的治療実績は乏しい。本研究の目的は、ウィリアムズ症候群の不安症治療にブスピロンを用いた際の実データを提供することである。
研究デザインと手法:ウィリアムズ症候群患者(7歳から47歳)でブスピロンによる不安症の治療を受けた24人の診療記録を入手した。ブスピロンに対する治療反応は臨床全般印象度改善尺度(Clinical Global Impression Improvement subscale:CGI-I)の遡及的スコアを適用することで評点付けした。
結果:24人中23人の患者(96%)はブスピロンによる少なくとも16週間の治療過程を完了した。16人の患者(67%:95%信頼区間は47%、82%)は治療が奏効した(CGI-I ≦ 2)。一人の患者だけ(4%)は治療の急激な副作用(悪心と嘔吐)のためブスピロンの投与を中止した。最も共通した副作用は悪心だった(13%)。20人の患者(84%)は直近の経過観察通院の時点までブスピロン投与を継続していた。
結論:今回の遡及的研究の結果、患者の大部分が16週間のブスピロン治療が奏効した。ウィリアムズ症候群の不安症に対するブスピロンの有効性と耐容性に関する評価を確実にするためにはさらなる前向き研究が必要である。
(2024年1月)
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