ウィリアムズ症候群の子どもや青年の顔貌や視空間の処理における対照的な神経機能相関:4種類のfMRIパラダイムの収斂結果
Contrasting neurofunctional correlates of face- and visuospatial-processing in children and adolescents with Williams syndrome: convergent results from four fMRI paradigms.
Garvey MH(1)(2)(3), Nash T(1), Kippenhan JS(1), Kohn P(1), Mervis CB(4), Eisenberg DP(1), Ye J(1), Gregory MD(#)(1), Berman KF(#)(5).
Author information:
(1)Section on Integrative Neuroimaging, Clinical and Translational Neuroscience Branch, National Institute of Mental Health, Intramural Research Program, National Institutes of Health, 10 Center Drive, Bethesda, MD, 20892, USA.
(2)Department of Psychiatry, University of Cambridge, Cambridge, UK.
(3)Georgetown University School of Medicine, Washington, DC, 20007, USA.
(4)Neurodevelopmental Sciences Laboratory, Department of Psychological and Brain Sciences, University of Louisville, Louisville, KY, 40292, USA.
(5)Section on Integrative Neuroimaging, Clinical and Translational Neuroscience Branch, National Institute of Mental Health, Intramural Research Program, National Institutes of Health, 10 Center Drive, Bethesda, MD, 20892, USA. bermank@mail.nih.gov.
(#)Contributed equally
Sci Rep. 2024 May 5;14(1):10304. doi: 10.1038/s41598-024-60460-5.
統合失調症や自閉症などの精神神経疾患の根底にある神経形成メカニズムの理解は、その固有の臨床的や遺伝的多様性があるために複雑である。ウィリアムズ症候群は稀少な神経発達疾患であり、遺伝子的変異(26個におよぶ7q11.23領域の遺伝子の半接合欠失)と認知/行動プロフィールの両方ともがよく理解されていて、遺伝子-脳-行動の関連を描写できる貴重な機会を提供している。ウィリアムズ症候群の患者は、顔に対する特異的な興味と視空間処理にみられる顕著な障害などを含む社会的誘引が増大する特徴がある。主として成人を対象とした先行研究では、これらの特徴間の神経機能相関を調査し、顔貌のような社会感情的な刺激を見ている間は紡錘状回の機能が変化するとともに、視空間処理を行っている間は頭頂間溝の活動が低下するという報告を行った。ここに、我々は4種類の異なるパラダイムのfMRIを用いてウィリアムズ症候群の子どもや青年の神経機能の検査を行った。これには2種類の認知/行動領域に対してそれぞれ2種類のプローブを用いる。2種類の視空間課題を行っている最中にはウィリアムズ症候群患者の頭頂間溝の活動低下が認められたが、2種類の顔貌処理課題を行っている最中には見られなかった。対照的に、両顔貌処理課題の最中には紡錘状回の過剰活性化が認められたが、視空間課題を行っている最中には見られなかった。これらのデータはウィリアムズ症候群の成人でこれまでに確認された所見が子どもや青年でも見られることだけではなく、遺伝子的メカニズムが神経回路機能に偏向を与え、その結果として行動形質に影響を与えることを示す明確な事例を提示している。
(2024年5月)
目次に戻る