ウィリアムズ症候群やダウン症候群の人は何故天気予測課題に失敗するのか?



Why do individuals with Williams syndrome or Down syndrome fail the Weather Prediction Task?

Bochud-Fragni?re E(1), Lonchampt G(1), Bittolo P(1), Ehrensperger G(1), Circelli AR(2), Antonicelli N(2), Costanzo F(2), Menghini D(2), Vicari S(2)(3), Banta Lavenex P(1)(4), Lavenex P(1).
Author information:
(1)Laboratory of Brain and Cognitive Development, Institute of Psychology, University of Lausanne, Lausanne, Switzerland.
(2)Department of Neuroscience, Bambino Ges? Children's Hospital, Rome, Italy.
(3)Faculty of Medicine and Surgery, Catholic University, Rome, Italy.
(4)Faculty of Psychology, UniDistance Suisse, Brig, Switzerland.
Dev Psychobiol. 2024 Jul;66(5):e22503. doi: 10.1002/dev.22503.

ウィリアムズ症候群やダウン症候群の患者は、遺伝的起源を持つ2つの神経発達障害であり、海馬依存の場所学習の障害と線条体依存の空間応答学習の高進を示す。本論文では、海馬や線条体に依存する学習戦略を用いて解決できる天気予測課題(the Weather Prediction Task)を使用して、ウィリアムズ症候群やダウン症候群の患者が空間領域外で同様のプロファイルを示すかどうかを確定した。ウィリアムズ症候群やダウン症候群の患者のうち、天気予測課題を解けたのはわずか10%であった。さらに、同時記憶課題がウィリアムズ症候群患者の天気予測課題を解くための手続き型学習への依存を促進するかどうかを評価したが、同時課題はパフォーマンスを向上させないことがわかった。確率的な手がかりと結果の関連性が天気予測課題のパフォーマンスにどのように影響するか、およびウィリアムズ症候群やダウン症候群の患者がディストラクター(訳者注:間違った選択肢)を無視できるかどうかを理解するために、異なる報酬偶発性を持つ視覚学習課題と、予測不可能な手がかりを持つ修正された天気予測課題を使用してパフォーマンスを評価した。確率的フィードバックとディストラクタの両方が、ウィリアムズ症候群やダウン症候群の患者のパフォーマンスに悪影響を及ぼした。これらの知見は、海馬依存性の学習および実行機能の障害と一致しており、これら2つの集団における学習を最適化するためには、調和的なフィードバックとディストラクタの最小化が重要であることが明らかになった。

(2024年6月)



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