ウィリアムズ症候群の成人における末梢聴覚経路と聴性脳幹反応の特性評価
Peripheral Auditory Pathway and ABR Characterization in Adults with Williams Syndrome.
Nascimento JAD(1), Silva LAF(1), Samelli AG(1), Matas CG(1).
Author information:
(1)Department of Physical, Speech-Language-Hearing, and Occupational Therapies, School of Medicine, Universidade de Sao Paulo (FMUSP), Sao Paulo, SP, Brazil.
Int Arch Otorhinolaryngol. 2024 Jul 5;28(3):e502-e508. doi: 10.1055/s-0044-1785457. eCollection 2024 Jul.
緒言:ウィリアムズ症候群(WS)は、7番染色体の微小欠失によって引き起こされる遺伝性疾患であり、約28個の遺伝子に影響を及ぼす。研究によると、エラスチン遺伝子の欠失と、蝸牛の脆弱性による軽度から重度の感音性難聴に関連していると思われる伝音性難聴が指摘されている。
目的:ウィリアムズ症候群の成人患者と、年齢と性別を一致させた定型発達の成人について、末梢聴覚系と聴性脳幹反応 (auditory brainstem response:ABR) の特徴を捉えて比較すること。
手法:18歳から37歳までの男女30名を対象として横断的観察研究を実施した。そのうち15名はウィリアムズ症候群(研究対象群)、15名は症候群も聴覚障害も有さない(対照群)で、それぞれ性別と年齢を一致させた。被験者は、純音および音声聴力検査、音響イミタンス、誘発耳音響放射(TEOAE)、および聴性脳幹反応を受けた。
結果:早期発症の感音難聴は、研究対象群の53.3%で見られ、ほとんどが軽度で、3kHz以上で発生した。誘発耳音響放射は、評価した被験者の53.3%には存在しなかった。それらを有した被験者の信号雑音応答は対照群よりも有意に低かった。聴性脳幹反応では、第I波と第III波で絶対潜時の増加が観察された。
結論:ウィリアムズ症候群患者は、早期および進行性の蝸牛障害を有し、主に蝸牛の基底領域に影響領域がある。彼らは、成人期に始まると思われる脳幹の変化が少ない可能性がある。
(2024年7月)
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