ウィリアムズ症候群の大脳の形状分析
Analysis of Cerebral Shape in Williams Syndrome.
Schmitt JE, Eliez S, Bellugi U, Reiss AL
Department of Psychiatry and Behavioral Sciences, Stanford University School of
Medicine, 401 Quarry Rd, Stanford, CA 94305-5719. reiss@stanford.edu
Arch Neurol 2001 Feb;58(2):283-287
背景:
独特の神経認知プロフィールを持ち遺伝子的病因が明確になっている神経行動的障害と
して、ウィリアムズ症候群は行動と神経解剖学的構造と遺伝子の間の関連を調査するた
めの得がたい機会を提供している。本研究は、ウィリアムズ症候群の被験者と正常な対
照群の大脳の形状がどのように異なっているかを調べることを目的としている。
被験者:
臨床的及び遺伝子的にウィリアムズ症候群と診断された成人20人(年齢の平均と標準偏
差、28.5 +/- 8.3 才)と年齢と性別が同等な健常者20人(年齢の平均と標準偏差、28.5
+/- 8.2 才)。
方法:
高解像度構造MRIの測定データを使い、左右の大脳半球と脳梁の形状に関する形態的分
析を行った。統計分析によってグループ間の差異を評価した。
結果:
正常群に比べて、ウィリアムズ症候群の被験者の左右両大脳半球は縦断面(sagittal
plane)に対する屈折角度が浅い(P<.001)。脳梁もウィリアムズ症候群は屈折角度が浅い
(P =.05)。さらに、ウィリアムズ症候群の被験者の大脳(P<.001)と脳梁(P<.001)の中心
線長が短い。
結論:
ウィリアムズ症候群の被験者は対照群に比べて脳の形状が著しく異なっている。おそら
く頭頂葉・側頂葉が前頭葉に比べて容積比で小さいことに起因していると思われる。脳
梁に関する同様の観察結果はウィリアムズ症候群の膨大部(splenium)のサイズが小さい
ことに起因すると考えられる。この所見はウィリアムズ症候群欠失領域に含まれている
遺伝子が脳の発達に与える影響に関する重要な手がかりになる可能性がある。
(2001年3月)
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