社会的動機づけ理論は自閉スペクトラム症児者の社会的認知特性を説明可能か?
研究代表者:平井 真洋(名古屋大学)
研究分担者/共同研究者:木村 亮(京都大学)
助成事業:科学研究費助成事業
資金配分機関情報:日本学術振興会(JSPS)
研究課題/領域番号:23K17638
研究期間 (年度) 2023-06-30 - 2025-03-31
オリジナル
研究開始時の研究の概要:
自閉スペクトラム症(ASD)の社会的認知特性を説明する理論の一つとして,社会的動機づけの低さが非定型な社会的認知特性を導く「社会的動機づけ理論」がある。しかしながら,社会的動機づけが高く,過度な社会性を有するとされる希少遺伝疾患であるウィリアムス症候群(WS)児者は,社会的動機の高さが認められるにもかかわらず,社会的認知特性がASD児者と類似していることを見出している。そこで本研究は,社会的動機づけがASD児者の対極にあるが,ASD児者と類似した知覚・感覚特性特性を有するWS児者を対象に,両者に共通した知覚・感覚特性がどのように社会的認知の非定型さにつながるかについて検証する。
研究実績の概要:
自閉スペクトラム症(ASD)の社会的認知特性説明する理論の一つとして,社会的動機づけの低さが非定型な社会的認知特性を導く「社会的動機づけ理論」がある。しかしながら,社会的動機づけが高く,過度な社会性を有するとされる希少遺伝疾患であるウィリアムズ症候群(WS)児者は,社会的動機の高さが認められるにもかかわらず,社会的認知特性がASD児者と類似していることを見出している。これらを踏まえ,今年度は以下の二点について研究計画に則り研究を進めた。まず,社会的動機づけがASD児者の対極にあるが,ASD児者と類似した知覚・感覚特性特性を有するWS児者とASD児者の社会的認知特性に関して,社会的動機づけ理論で提唱される社会的動機づけを構成する各階層について比較を行い,社会的動機づけの高さが必ずしも社会的認知特性の定型さに繋がるわけではないことを示し,社会的動機づけ理論の限界について理論的にまとめた論文を書き上げ,現在改訂中である。また,ASD児者とWS児者に共通する感覚特性が非定型な社会的認知特性と関連するとの仮説を検証するための実験を計画し,実験で用いる刺激等を作成している。
(2025年1月)
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