ウィリアムズ症候群の子どものワーキングメモリーと文章理解
Working Memory and Sentence Comprehension in Children with Williams Syndrome
Nobuo Masataka
Primate Research Institute, Kyoto University
Cognitive Studies, Vol 8, No.1, 25-36, March 2001
3種類のワーキングメモリーシステム(音韻ループ・視空間メモ・中央実行系)がウィリア
ムズ症候群の子どもと普通に発達した子どもにおける文章理解能力の相違にどのような影
響を与えているかを調べることを目的としていてこの調査を行った。獲得語彙量が同じで
ある12人のウィリアムズ症候群の子どもと12人の普通に発達した子どもに対して、構文
の複雑さレベルを変えた9種類の異なるタイプの文章を含む文章と絵の一致課題でテスト
を行った結果、ウィリアムズ症候群の子どもの総合得点は普通に発達した子どもよりも低
かった。しかし、ウィリアムズ症候群の子どもは音韻ループのスパンの変化に関しては正
常なレベルを示し、音韻処理の正確さ指標においては普通に発達した子どもより良い成績
を残した。一方で、ウィリアムズ症候群の子どもは実行系の視空間スパンが減少しており、
視空間の正確さ指標においては普通に発達した子どもより成績が悪い。これらの知見をウ
ィリアムズ症候群の子どもの言語学習における特徴の観点から議論する。
(2001年5月)
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