新しい単語の意味をカテゴリー化する際に、正常な子どもは言葉とジェスチャーから得られる情報を統合するが、ウィリアムズ症候群の子どもはそうしない。



Information from Speech and Gesture is Integrated When Meanings of New Words are Categorized in Normal Young Children, but not in Children with Williams Syndrome

Nobuo Masataka
Primate Research Institute, Kyoto University
Cognitive Studies, Vol 7, No 1, 37-51, March 2000

6人の正常な日本人の子どもと6人のウィリアムズ症候群の子どもに対して、見たことがな い物体(鉄のような個体かゴムのような弾性体のどちらか)を識別する新奇語彙を提示し た。提示にはジェスチャーを伴うケースと伴わないケースがある。ジェスチャーは、対象 物体の形状と機能(例:ころがすしぐさ)を強調するケースと、材質(例:握り締める) を強調するケースの2種類がある。その後、子どもたちは1対の見たことがない物体を見 せられる。片方は目標物体と形状と機能が一致し、他方は材質が一致する。子どもたちは、 形状と機能が一致するか材質が一致するかの観点で与えられた新奇語彙に一致する物体を 選ぶよう求められる。先行して対象物を提示する際にジェスチャーが伴っていた場合に、 正常な子どもは、ジェスチャーが物体の形状と機能を強調した場合は形状と機能が一致す る物体を、ジェスチャーが材質を強調した場合は材質が一致する物体を選ぶ傾向がある。 ジェスチャーが提示されなかった場合は2つの物体をランダムに選んでいた。それに比し て、ウィリアムズ症候群の子どもの選択方法は先行するジェスチャーの種類には影響され ず、先行するジェスチャーの有無にも無関係にランダムに決断が行われた。ウィリアムズ 症候群の子どもの独特な言語獲得方法を引き起こしているかもしれないワーキングメモリ ーに障害がある可能性に関してこの知見を検討する。

(2001年6月)



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