自閉症とウィリアムズ症候群における視覚情報処理障害と脳の振動活動



Disordered visual processing and oscillatory brain activity in autism and Williams Syndrome.

Grice SJ, Spratling MW, Karmiloff-Smith A, Halit H, Csibra G, de Haan M, Johnson MH.
Neurocognitive Development Unit and Developmental Cognitive Neuroscience Unit, Institute of Child Health, London WC1N 1EH; Centre for Brain and Cognitive Development, School of Psychology, Birkbeck College, University of London, WC1E 7HX, UK.
Neuroreport 2001 Aug 28;12(12):2697-700

自閉症とウィリアムズ症候群という2種類の発達障害は、空間的に離れている要素を全体 としてまとめるというような知覚特徴を統合する部分に障害があることが知られている。 正常な成人や幼児は、脳内でこのような「統合」を行う際に、40Hz付近のガンマ帯バース トと呼ばれる脳波(electroencephalographic (EEG) gamma-band bursts)が現れることがわ かっている。我々は自閉症とウィリアムズ症候群についてこのガンマ波(gamma-band EEG) を測定し、両表現型が異なる異常であることを示した。認知レベルでは同じような処理が 行われていると推測されるにもかかわらず、脳の振動活動(brain oscillatory activity) においては異なる異常があることから、ウィリアムズ症候群と自閉症における「統合」は 神経生理学上区別可能である。ヒトにおいて「統合」に関係するガンマ波が障害を受けて いることを、本研究は初めて指摘した。

(2001年9月)



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