ウィリアムズ症候群における小脳虫部の肥大
Enlarged cerebellar vermis in Williams syndrome.
Schmitt JE, Eliez S, Warsofsky IS, Bellugi U, Reiss AL.
Stanford Psychiatry Neuroimaging Laboratory, Department of Psychiatry and Behavioral
Sciences, Stanford University School of Medicine, 401 Quarry Road, 94305-5719,
Stanford, CA, USA
J Psychiatr Res 2001 Jul-Aug;35(4):225-9
ウィリアムズ症候群は稀少病であり、全体的な知的能力・問題解決・視空間処理などに障
害がある一方で、言語能力と顔認識が比較的維持されていることを特徴とする。また、ウ
ィリアムズ症候群患者は過度の社交的行動を見せたり、会話や物語を語る場合に極端な言
語的効果を使用する。脳の画像検査によると、ウィリアムズ症候群患者は正常な対照群に
比べて脳全体容積は減少しているが、小脳の容積は同程度であることが示されている。本
研究は高解像度の核磁気共鳴画像装置を用いて、20人のウィリアムズ症候群患者と、20人
の年齢と性別を一致させた対照群に対して、小脳の神経解剖学的構造を調査した。小脳虫
部は小葉I-VとVI-VIIとVIII-Xに分けられる。ウィリアムズ症候群患者のグループの小
葉VI-VIIとVIII-Xは比較的肥大していた。ウィリアムズ症候群患者の脳が小さいことの
補正を行った後、小脳虫部後部はウィリアムズ症候群において顕著に大きい(Mann-Whitney
z-value=4.27; P<0.001)ことが判明した。感情の抑揚がない(flattened affect)ケースや
自閉傾向において小脳虫部後部のサイズが小さい場合があることから考えると、ウィリア
ムズ症候群患者の小脳虫部のサイズが大きいことは、この遺伝子病の患者に見られる過度
の社交性や高揚した言語表現などの特徴に関連している可能性がある。
(2001年10月)
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