ウィリアムズ症候群における背側前脳の異常
Dorsal Forebrain Anomaly in Williams Syndrome.
Galaburda AM, Schmitt JE, Atlas SW, Eliez S, Bellugi U, Reiss AL.
Beth Israel-Deaconess Medical Center, 330 Brookline Ave, Boston, MA 02215.
agalabur@caregroup.harvard.edu
Arch Neurol 2001 Nov;58(11):1865-1869
背景:
ウィリアムズ症候群は稀少神経遺伝子病であり、大脳半球視覚認知背側経路の障害と
正常な腹側経路を持ち、背側及び腹側の発達相違を示唆する行動表現型を示す。検死
を行った複数の標本から背側中心溝の範囲が短くなっていることが観察された。
目的:
大脳半球の背側及び腹側領域の解剖学的な全体的特徴を比較するために、ウィリアム
ズ症候群の患者及び年齢と性別を一致させた対照群患者に対して脳MRIを使って中心
溝の背側領域を調査した。
被験者:
臨床的及び遺伝子的にウィリアムズ症候群の診断を受けた21人の被験者(平均年齢及
び標準偏差、28.9 +/- 7.9 歳)が年齢と性別を一致させた平均的な発達を呈する対象
群(平均年齢及び標準偏差、28.8 +/- 7.9 歳)と比較された。
設計:
高解像度構造的(structural)MRIを利用した。中心溝の範囲は大脳皮質に投射して質的
に評価された。
結果:
ウィリアムズ症候群患者の背側中心溝は対照群と比較して左側(P<.001, chi(2) =
15.79)でも右側(P<.001, chi(2) = 12.95)でも大脳縦裂内への侵入度合いが少ない。
腹側中心溝においては両グループに差は見られなかった。
結論:
ウィリアムズ症候群患者の背側領域における異常は背側前脳の発達に影響を与えてい
る初期の神経発達異常の存在を示唆していて、この病気で頻繁に観察される空間視能
力や行動タイミングの障害に最も関連が強いと考えられる。
(2001年12月)
目次に戻る