ウィリアムズ症候群の聴覚過敏症
Hyperacusis in Williams syndrome.
Johnson LB, Comeau M, Clarke KD.
Department of Otolaryngology, Dalhousie University, Halifax, Nova Scotia.
J Otolaryngol 2001 Apr;30(2):90-2
目的:聴覚過敏症の聴覚パラメータ(audiologic parameters)確定、中枢聴覚経路および
周辺聴覚経路(central and peripheral auditory pathways)の解明。
設計と設定:聴覚過敏症に関する理論はこれまでも様々な議論を重ねてきた。ウィリアム
ズ症候群児グループは普遍的に聴覚過敏を訴える。彼らは雑音に対して同じような反応
行動を繰り返し、社会的相互作用を妨げている。内耳にある蝸牛への遠心性感覚出力を
行う抑制調節がないことが原因だと考えられている。
手法:9人のウィリアムズ症候群患者に対して、聴覚曲線(オーディオグラム)・会話聞き
取り限界(speech reception thresholds)・聴覚反射・インピーダンス・TEOAEs(transient
evoked otoacoustic emissions)を含む聴覚検査を行った。
主要な測定値:反対側の耳に対する刺激に続いて実施されたTEOAEsの測定変化値で遠心性
システムの評価を行った。
結果:3人の患者に高周波領域聴覚神経性難聴(high-frequency sensorineural hearing loss
(SNHL))が見られ、この結果は期待した通り、TEOAEsが無く蝸牛が損傷していることを
示している。
結論:この発見は蝸牛の病気を示唆し、片側内部オリーブ核・蝸牛システム(ipsilateral
medial olivocochlear system)による外部有毛細胞調節仮説を支持している。同症候
群に見られる行動的側面のために聴覚検査が難しいものとなっている。この行動が見ら
れるとSNHLの診断が難しくなる。今回の被験者集団における検査結果では、年齢が高
いほどSNHLの発生頻度が高い。このことは早期診断の誤りか、原因となる蝸牛の病気
のどちらかを反映しており、成長した後に症状が出てくる可能性がある。この発見によ
って大きな音に対する漸加遅参(recruitment)と聴覚過敏症の境界がはっきりしなく
なった。
(2002年1月)
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