ウィリアムズ症候群における視聴覚的会話認識
Audiovisual speech perception in Williams syndrome
Bohning M, Campbell R, Karmiloff-Smith A.
Department of Linguistics, University of Potsdam, Potsdam, Germany
Neuropsychologia 2002;40(8):1396-406
遺伝子疾患であるウィリアムズ症候群をもつ人は、純粋言語能力や社会的コミュニケーション能力は比較的発達し、視空間認知能力を必要とする課題はかなり障害を受けているという変則的な認知プロフィール示す。視空間認知能力の中でも相貌認知は比較的能力が維持されていることから、障害は発達的未成熟の可能性が考えられる。この観点からウィリアムズ症候群における視覚的あるいは視聴覚的会話認識に興味が集まっている。/wedgeba:/や/wedgeva:/、/wedgetheta;a:/、/wedgeda:/、/wedgega:/という形式でひとりの英語を母国語とする人が発音したトークンを使い、コンピュータ上で単相(視覚のみ、聴覚のみ)及び視聴覚両方の情報を被験者に与えてトークンを識別するという新しいテストを実施した。同年齢の対照群と比較すると、ウィリアムズ症候群の被験者は聴覚のみの場合は障害が見られるが聴覚のみの場合は見られない。また、視聴覚の場合は聴覚のみの識別成績から視覚効果を減じた場合に相当する。視聴覚統合効果はウィリアムズ症候群には見られない。ウィリアムズ症候群においては年齢相当の(聴覚)音素識別能力が備わっているにもかかわらず、会話を理解するために必要な年齢相当の能力が無い可能性がある。
(2002年4月)
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