ウィリアムズ症候群における脳回の増加:3次元MRI検査から得られた証拠
Increased gyrification in Williams syndrome: evidence using 3D MRI methods.
Schmitt JE, Watts K, Eliez S, Bellugi U, Galaburda AM, Reiss AL.
Department of Psychiatry and Behavioral Sciences, Stanford University, School of Medicine, CA 94305-5719, USA.
Dev Med Child Neurol 2002 May;44(5):292-5
神経遺伝的疾病における脳回(gyrification)のパターンを理解することは、表現型としての行動を理解する神経発達面の病因を探し出すことにつながる。この手法は、7q11.23領域における1 Mbから2Mbの新規欠失を原因とするウィリアムズ症候群において特に有用である。ウィリアムズ症候群の患者は視空間認知能力に障害がある一方、言語・音楽・社会的欲求などは比較的影響を受けていないという特徴的な珍しいアンバランスさを有している。予備的な検死研究の結果、ウィリアムズ症候群の患者は変則的な脳回や溝を呈していた。17人のウィリアムズ症候群患者(女性10人及び男性7人、平均年齢28歳11ヶ月、標準偏差8歳6ヶ月)と、年齢と性別を一致させた正常に発達した対照群(平均年齢29歳1ヶ月、標準偏差8歳1ヶ月)に対して、MRI自動検査手法を用いて脳回形成パターンを調査した。有意な皮質の異常脳回形成が全体的に見られ、特に右頭頂部(P=0.0227)、右後頭部(p=0.0249)、左前頭部(p=0.0086)領域で顕著である。これらの結果から、7q11.23領域に存在する一つあるいは複数の遺伝子が皮質のしわを形成する臨界期に発現している可能性があり、この疾病において背側と腹側に解離があるという仮説と関連している可能性がある。
(2002年6月)
目次に戻る