ウィリアムズ症候群の乳児や幼児における小脳の異常



Cerebellar abnormalities in infants and toddlers with Williams syndrome.

Jones W, Hesselink J, Courchesne E, Duncan T, Matsuda K, Bellugi U.
Laboratory for Cognitive Neuroscience, The Salk Institute for Biological Studies, LaJolla, CA 92037, USA. jones@crl.ucsd.edu
Dev Med Child Neurol 2002 Oct;44(10):688-94

ウィリアムズ症候群の成人において共通的に観察される神経解剖学的異常のひとつに、小さい大脳に対して相対的に小脳が大きいことである。本研究はウィリアムズ症候群の幼い子どもを対象として行われる初めての神経解剖学的調査である。9人のウィリアムズ症候群の幼い子ども(平均年齢 21ヶ月、年齢範囲 7〜43ヶ月)と、正常に発達し年齢と性別を一致させた9人の対照群(平均年齢 29ヶ月、年齢範囲 20〜42ヶ月)と、原因不明の発達障害を持つ2人の子ども(6ヶ月と41ヶ月)に対して脳MRIを使って臨床的調査を行った。今回の研究目的や仮説や被験者グループの分類を知らされていない2人の神経レントゲン技師(neuroradiologist)が6種類の神経解剖学的規準によって脳画像を2つのグループに分類した。この判定者は小脳の特徴によって分類する場合にウィリアムズ症候群のMR脳画像を別のグループに分類する傾向が高く、その他の脳領域特徴を使う場合にはその傾向は見られなかった。彼等はウィリアムズ症候群の小脳のサイズが大きいことをコメントとして書き記した。この結果から、ウィリアムズ症候群における小脳の異常な拡張は早い時期に始っていることが明らかになった。この成果とウィリアムズ症候群に見られる認知機能の遅れとの関係をダウン症候群などその他の疾病と対比しながら検討した結果、認知機能において小脳が何らかの役割を担っているとの仮説を提示するに至った。

(2002年11月)



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