発達視空間学習障害が英国式手話に与える影響



The impact of developmental visuospatial learning difficulties on british sign language.

Atkinson JR, Woll B, Gathercole S.
Department of Language and Communication Science, City University, London EC1V 0HB
and Department of Psychology, University of Durham, Science Laboratories, South Road, Durham DH1 3LE, UK.
Neurocase 2002;8(6):424-41

言語と認知の発達における相互関係、特に両者の解離についてはこの数年で研究者の注目を集めるようになった。先天的稀少病で、高次皮質機能の分画、言語機能は比較的維持されているが視空間構成認知機能に顕著な障害があることなどを特徴とするウィリアムズ症候群がよく研究されている。ヘザー(Heather)は身体的特徴や認知機能において典型的なウィリアムズ症候群の特徴を呈し、さらに先天的聴覚障害を併せ持ち英国式手話を使用する。彼女は視空間的な言語機能を使う言語システムにおいて特定の視空間学習障害がどのような影響を与えるかを調査した初めての事例である。ヘザーは作画能力や視覚による形状分類能力に障害があるが、顔識別能力は維持されている。彼女は非常に豊富な英国式手話語彙を有し、英国式手話文法ににおいても全般的に十分な能力を有している。しかし、言語的意図を表現するために空間的表現を直接必要とする部分の英国式手話においては部分的に障害がある。彼女の障害に関する自然歴とウィリアムズ症候群で見られる自然歴に関するさまざまな理論を取り上げ、ユニークな本ケースで得られたデータを元にした言語と視空間認知の関係をモデルとして検討する。

(2003年1月)



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