ウィリアムズ症候群における顔の表情理解



Facial expression recognition in Williams syndrome.

Gagliardi C, Frigerio E, Burt DM, Cazzaniga I, Perrett DI, Borgatti R.
Neurorehabilitation Unit, IRCCS 'E. Medea', (Lc), Bosisio Parini, Italy
Neuropsychologia 2003;41(6):733-8

ウィリアムズ症候群患者は相貌認識能力に優れているとともに、社会的刺激と言語的能力、特に感情的表現を含む言葉、に健著な関心を示す。アニメーションを用いた顔の表情認識総括テスト(The animated full facial expression comprehension test (AFFECT))という、感情表現知覚用の新しい検査方法を使ってウィリアムズ症候群患者と、歴年齢及び精神年齢を合わせた2つの対照群の調査を行った。ウィリアムズ症候群における表現認知成績はは同一歴年齢の対照群よりは悪いが、同一精神年齢の対照群とは差が見られなかった。ウィリアムズ症候群と同一精神年齢の両グループ間は同じような成績であるが、その裏にある処理方式は違っていると考えられる。ウィリアムズ症候群の表情認知成績は年齢とは相関がないが知能指数とは相関が見られた。この結果は、年齢とは相関があり知能指数とは相関がない、というすでに知られているベントン検査(Benton Test)による顔の表情理解の結果と相反する。ベントン検査の結果はウィリアムズ症候群患者が相貌認識能力に優れていることで説明できる。この能力は部分戦略(piecemeal strategy)を利用していて、この戦略は練習することで向上するため年齢との相関があることを説明できる。ウィリアムズ症候群患者が表情理解を苦手としている理由は、形状構成能力(configural ability)が欠けているからだと考えている。顔の形状の変化が表情を示す重要な要素だからである。さらに、神経発達異常が貧弱な形状構成能力の理由であり、そのためにこのような早期に固定化されてしまうと考えている。

(2003年3月)



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