ウィリアムズ症候群と正常な被験者における図形模写



Figure copying in Williams syndrome and normal subjects.

Georgopoulos MA, Georgopoulos AP, Kuz N, Landau B.
Brain Sciences Center, Minneapolis Veterans Affairs Medical Center, Minneapolis, MN, USA.
Exp Brain Res. 2004 Feb 17

10人のウィリアムズ症候群被験者(WS:年齢は6歳から14歳)、及びカウフマン簡易知能テスト(mKBIT:Kaufman Brief Intelligence Test)の主要素を用いて精神年齢を一致させた10人の正常に発達した被験者(年齢は3歳から6歳)に対して、模写能力を評価した。各被験者は6つの図形を模写する。図形には、線画による開閉両方の幾何学図形(単体およびその組み合わせ)、交差した線分、塗りつぶされた小さな独立した円で構成された幾何学図形が含まれている。定性的には、両グループの被験者間は同等の模写図形を作成していたが、ウィリアムズ症候群の被験者の何人かは、独立した円で構成された図形を線画として模写していた。定量的には、3人の観察者が見本と模写図形の一致度合いをアナログ的な尺度で点数化して評価した。点数を0(まったく異なっている)から100(同じである)までの値に変換して統計分析に使用した。次のような発見があった。第一に、見本を模写する全体的な正確さはWSと対照群でとてもよく似ている(WS: 平均=46.7, 範囲=0.89-95.4; 対照群: 平均=54.5, 範囲=0.89-98.2)。第二に、両グループにおける模写の正確さは、図形の特徴に依存した系統的な差異が存在する。詳しく述べると、単純な線画の場合、対照群の模写の正確さはウィリアムズ症候群被験者とほぼ同等であったが、合成された線画の場合は対照群が常に成績がよく、塗りつぶされた小円で構成された図形の場合は対照群のほうが良いことが多かった。第三に、両群とも模写の正確さ(従属変数)と精神年齢(mKBIT、独立変数)の間に有意な相関関係がある。ウィリアムズ症候群グループに比べて対照群のほうが相関が強く統計的にも有意差が高い。この発見は、両者における模写原理が似ていることを示しており、ウィリアムズ症候群は逸脱障害というより発達障害の一例であることを示唆している。

(2004年2月)



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