ウイリアムス症候群を持った子供達の記憶能力



ウイリアムスの子供について一般的に言われていることを、学問的に確認したという内容です。 親として期待しているのは、どうしたら視空間認識能力や記憶力を改善できるか、あるいは、 言語能力をさらに高めるにはどうすれば良いかというような、療育に関するもう一歩踏み込ん だ研究ではないでしょうか。WSA(米国)の会長も、ウイリアムス症候群に関して遺伝子的 調査は進んでいるけれども、どのように育てればよいか、どのように教育すれば能力を伸ばし てやれるか等についての研究が進んでいない事に懸念を持っておられるようです。

(1997年4月)

Memory abilities in children with Williams syndrome.

Vicari S; Brizzolara D; Carlesimo GA; Pezzini G; Volterra V
IRCCS Ospedale Pediatrico Bambino Gesu, Santa Marinella, Roma.
Cortex (ITALY) Sep 1996, 32 (3) p503-14, ISSN 0010-9452
Languages: ENGLISH
Document type: JOURNAL ARTICLE



ウイリアムス症候群(WS)は発生率の低い遺伝子障害であり、知的障害・特徴ある顔の変形・い くつかの病的奇形が特徴である。この病気をもつ子供達は、言語能力(比較的能力が維持され ている)と視空間認識能力の乖離という神経心理学的特徴を持っていると言われている。神経 心理学的な側面を本質的に理解することにつながる可能性があるにもかかわらず、これらの患 者の記憶能力に関して適切な調査が行われていない。この研究は、WS患者(16人)に対す る言語的記憶能力と空間的記憶能力を調査することを目的としている。調査は、言語と空間の 幅と、言語および視認識した物をその直後と時間を置いた後に思い出すという課題で実施され、 正常に発達している子供たちと比較された。WSの子供の記憶能力は、短期記憶・長期記憶の 両面において視空間記憶に欠陥があること、言語的学習面では短期記憶は正常であるのに長期 記憶に問題があるという乖離があるという特徴がある。この結果は、知的障害が精神機能障害 に起因することを示唆するものである。つまり、特定の認知能力が他の能力より損なわれ方が 大きいという可能性がある。



目次に戻る