Scothorn DJ, Butler MG
Clin Dysmorphol 1997 Jan;6(1):91-93
Languages: ENGLISH Document type: LETTER
現在までに、ウイリアムス症候群と思春期早発の報告はなく、この症例がはじめて
である。体の発達と精神発達のアンバランスから考えると、思春期早発症の存在は、この
疾患をかかえる患児の親にとっては大切な問題であろう。
思春期早発は、日本での厚生省の定義によれば、8歳未満で思春期に入る状態とさ
れています。一般的な観察では、ウイリアムス症候群に思春期早発の傾向はみられない(多
分1%以下)ので、一般人口における発生頻度と大きく差がないような印象を受けます。
ただ、日本での症例の全体像があきらかではありませんので、思春期早発の発生頻度が一
般と同じと言い切れる段階ではありません。しかし、病的に早発の状態の患児が多いわけ
では無いと思います。他の遺伝子が原因の疾患でも思春期の出現が1年程が早まることが
あります。ウイリアムス症候群の患児も思春期の到来がやや早めだということを指摘して
いる資料もあります。
低身長と思春期が早く来ることは、直接関係はありません。たとえば、中学校時代は
小さくても、その後急激に背がのびた人が知り合いにいるかと思います。この子はいわゆ
る思春期遅発の概念にあてはまります。 つまり、思春期開始年齢からの身長の伸びは、
男の子で25-30 cm、女の子で20-25 cmなので、思春期開始年齢が遅いほうが身長には有
利ということになります。この点から考えると、身長の低めの子が多いウイリアムス症候
群では、思春期の開始が早いと身長の面では不利ということになります。そのため、女児
の場合、思春期が身長に対して相対的に早めであれば、身長の面から、思春期を抑える治
療を選択する場合もあると思います。