ウィリアムズ症候群における肺機能と肺気腫



Pulmonary function and emphysema in Williams-Beuren syndrome.

Wan ES, Pober BR, Washko GR, Raby BA, Silverman EK.
Channing Laboratory, Department of Medicine, Brigham and Women's Hospital, Boston, Massachusetts.
Am J Med Genet A. 2010 Feb 22;152A(3):653-656.

ウィリアムズ症候群は7番染色体11.23部位にあり、エラスチン遺伝子(ELN)全体を包含する超顕微鏡的な欠失を原因とする。肺における弾性繊維の重要な構成要素であるエラスチンは、肺気腫では進行的に破壊される。エラスチン遺伝子に欠陥があるとヒトでもマウスでも慢性閉塞性肺疾患(COPD)や肺気腫の発達が増加する可能性が疑われている。我々はエラスチン遺伝子座の半接合がウィリアムズ症候群患者の慢性閉塞性肺疾患や肺気腫を増加させていると想定している。これまで非喫煙者だったウィリアムズ症候群成人患者で、中程度の肺気腫の診断を受けた症例を報告する。同時にウィリアムズ症候群患者の成人および青年期の単独コホート集団に対して肺機能を調べた。スパイロメトリーに検する顕著な異常はみられなかったが、有意な割合の患者が呼吸器症状を呈している。このように、比較的若いウィリアムズ症候群成人患者には閉塞性障害は現れていない一方で、無症候性の肺気腫や肺疾患が潜伏していて加齢とともに悪化する可能性がある。研究を進めることで非喫煙性肺気腫の病理発生を明らかにできる可能性がある。

注:スパイロメトリー:肺がどのくらいの量の空気を吸い込むことができるか、どのくらいの速さで吐き出すことができるかを調べる呼吸機能検査

(2010年3月)



目次に戻る