ウィリアムズ症候群およびコルネリア・デ・ランゲ症候群の子どもや青年に対する、2009年に大流行したインフルエンザA/H1N1向けMF59免疫賦活剤入り一価性ワクチンの免疫原性、安全性、耐容性



A/H1N1 MF59-adjuvanted vaccine in children and adolescents with Williams or Cornelia De Lange syndrome.

Esposito S, Selicorni A, Daleno C, Valzano A, Cerutti M, Galeone C, Consolo S, Menni F, Principi N.
Department of Maternal and Pediatric Sciences, Universita degli Studi di Milano, Fondazione IRCCS Ca' Granda Ospedale Maggiore Policlinico, Milan, Italy.
Hum Vaccin. 2011 Jun 1;7(6). [Epub ahead of print]

重篤な神経疾患の患者の一部で季節性インフルエンザワクチンに対しての免疫反応が低下することが報告されている。ウィリアムズ症候群およびコルネリア・デ・ランゲ症候群の患者はしばしば神経発達に異常があることが報告されている。本研究は、これらの患者における2009年に大流行したインフルエンザA/H1N1向けMF59免疫賦活剤入り一価性ワクチンの免疫原性、安全性、耐容性を評価した。18人のウィリアムズ症候群患者(男性10人、平均年齢と標準偏差は12.74 ± 4.49歳)、11人のコルネリア・デ・ランゲ症候群患者(男性6人、平均年齢と標準偏差は12.90 ± 4.85歳)、年齢と性別を一致させた健康な対照群(男性16人、平均年齢と標準偏差は12.49 ± 4.55歳)で以前にインフルエンザワクチンの接種を受けたことがない被験者に2009年11月1日から30日の間に単位容量のワクチンを接種した。4週刊後、これら3グループの抗体陽転率(seroconversion rate)は72%から80%の間にあり、抗体保有率(seroprotection rate)は100%であり、抗体レベルが同様に上昇した。2ヵ月後、被験者のほとんどが抗体陽転を維持しており統計的にグループ間に有意な差異はみられず、ウィリアムズ症候群患者の94%、コルネリア・デ・ランゲ症候群患者全員、健康な対照群全員が依然として抗体を保有していた。安全性と耐容性にはまったく問題はなく、グループ間にも差はない。研究期間中にインフルエンザを発症したと報告された患者はいない。本研究から、ウィリアムズ症候群およびコルネリア・デ・ランゲ症候群および中程度の精神障害の子どもや青年に対する2009年に大流行したインフルエンザA/H1N1向けMF59免疫賦活剤入り一価性ワクチンの単位容量接種に関する免疫原性、安全性、耐容性には、健康な接種対象者と同様に問題がないことを示している。

(2011年4月)



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