ウィリアムズ症候群児における再発性食道通過障害
Recurrent achalasia in a child with Williams-Beuren syndrome.
Pereza N, Barbari? I, Ostoji? S, Cace N, Kapovi? M.
University of Rijeka, School of Medicine, Department of Biology and Medical Genetics, Rijeka, Croatia. nina.pereza@xnet.hr
Coll Antropol. 2011 Sep;35(3):941-4.
ウィリアムズ症候群は多臓器遺伝子疾患であり7番染色体状の7q11.23領域のエラスチン遺伝子を含む1.6Mbの半接合欠失が原因である。ウィリアムズ症候群の表現型には非常に変異に富んでいるが、最も共通的にみられる特徴は、循環器疾患、特徴的な顔貌、精神遅滞、特徴のある認知プロフィール内分泌異常、成長遅滞、結合組織異常などである。胃腸系の障害は同症候群で共通的で顕著にみられる特徴の一つであり、胃食道逆流や哺乳力低下、嘔吐、便秘、延長性疝痛、直腸脱、鼠径ヘルニア、臍ヘルニア、食道裂孔ヘルニアなどが含まれるが、食道通過障害がウィリアムズ症候群の合併症であるとの文献での報告はない。我々は、食道通過障害と循環器系の術後狭窄を呈したウィリアムズ症候群の男児患者の症例を報告する。ヘラ―疾患筋切開術(Heller myotomy)後、男児は、5回に及ぶ手術を各々一か月より短い間隔で行うたびに循環器系に大量の癒着を含む重度の狭窄を発達させた。最終的には重度の栄養障害と成長障害につながる胃食道逆流、びらん性胃炎、 食道裂孔ヘルニアを呈した。ウィリアムズ症候群の原因となる遺伝子欠失が食道通過障害の直接的な原因ではないとしても、強固な固着を原因とする循環器系の重度の再狭窄の発達がエラスチン遺伝子の半接合の結果であり、食道結合組織の弾性繊維の構造と機能を変異させている可能性は存在する。本症例は、嚥下障害や逆流症を呈するウィリアムズ症候群の子どもを診察した場合に下されるべき異なる診断として幼児期における食道性運動障害の早期発見の重要性を示唆する。
(2011年11月)
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