ウィリアムズ症候群は子どもや青年において対糖性異常と糖尿病を合併する遺伝子疾患である:縦断的研究から新たに得られた洞察
Williams-Beuren Syndrome Is a Genetic Disorder Associated with Impaired Glucose Tolerance and Diabetes in Childhood and Adolescence: New Insights from a Longitudinal Study.
Stagi S(1), Lapi E, Cecchi C, Chiarelli F, D'Avanzo MG, Seminara S, de Martino M.
Department of Health Sciences, University of Florence, Florence, Italy.
Horm Res Paediatr. 2014 Jun 11. [Epub ahead of print]
背景:
ウィリアムズ症候群の成人に共通的にみられる内分泌異常は2型糖尿病と対糖性異常である。しかし、ウィリアムズ症候群の子どもや青年、若い成人に関するデータはほとんどないかあっても散発的である。
目的:
ウィリアムズ症候群の子ども及び若いコホート集団における対糖性異常と2型糖尿病の罹患率を評価すること。
患者と方法:
27人のウィリアムズ症候群患者(男性9人、女性18人、研究実施時点の中央値年齢13.6歳)を縦断的に評価した。経過観察期間の中央値は3.6年である。インスリン抵抗性とβ細胞機能の変化を、経口ブドウ糖負荷試験を用いて全被検査に対して実施した。インスリン抵抗性指数(HOMA)とインスリン感受性に関するマツダ指数を全被験者に対して実施した。ブドウ糖代謝異常を示した患者に対して、GCKとHNF1A遺伝子の研究も実施した。年齢と性別を一致させた45人の被験者と、年齢・性別・BMIを一致させた被験者の2グループを集め対照群を構成した。
結果:
栄養状態を考慮して、患者7人(25.9%)が肥満、9人(33.3%)が体重過多、11人(40.8%)の体重は正常だった。患者1人(3.1%)は黒色表皮腫であった。対糖性異常はウィリアムズ症候群患者7人(25.9%)に診断され、2型糖尿病は3人(11.1%)だった。ウィリアムズ症候群患者全体で考えた場合、HOMAの中央値は5.23(範囲は2.93−14.89、インスリンは24.73−14.67μU/ml; ブドウ糖は104.98 ± 16.06 mg/dl)だった。BMI値を考えた場合、ウィリアムズ症候群患者の肥満、体重過多、正常体重のグループ毎にそれぞれ、HOMAは11.00(範囲6.53-12.56)、5.64(範囲3.54-7.95)、4.54(範囲 3.21-5.43)、 さらにインスリンは34.53 ± 6.84、22.76 ± 8.91、19.47±6.01 μU/mlとなった。結果を2つの対照群と比べると、ウィリアムズ症候群のグループはインスリン値が健康な対照群より高い値を示すが(p < 0.001)、BMIを一致させた対照群と同じ値を示す(p = n.s.)。しかし、ウィリアムズ症候群患者は糖血症(健康な対照群 p < 0.001;BMIを一致させた対照群 p < 0.05)やHOMA(健康な対照群 p < 0.001;BMIを一致させた対照群 p < 0.05)で2つの対照群より高い値を示す。最終的に、ウィリアムズ症候群患者では対糖性異常と2型糖尿病の被験者の数が、健康な対照群(p < 0.0001)やBMIを一致させた対照群(p < 0.0002)より多い。
結論:
我々の研究結果はウィリアムズ症候群の子どもや青年、成人では対糖性異常と2型糖尿病が見られることを強く示唆している。ウィリアムズ症候群は2型糖尿病を合併する遺伝子症候群の一つに数えられるべきである。この局面の疾病原因を評価するためにさらなる研究が必要である。
(2014年6月)
目次に戻る