子どもの直腸脱に対してメッシュを用いた修正Orr-Loygue法による直腸固定術
Laparoscopic modified Orr-Loygue mesh rectopexy for rectal prolapse in children.
Gomes-Ferreira C(1), Schneider A(2), Philippe P(3), Lacreuse I(2), Becmeur F(4).
Author information:
(1)Department of Pediatric Surgery, H.U.S., Hautepierre Hospital, 67098 Strasbourg Cedex, France; Department of Pediatric Surgery, Kannerklinik, Centre Hospitalier De Luxembourg, Luxemburg City, Luxembourg.
(2)Department of Pediatric Surgery, H.U.S., Hautepierre Hospital, 67098 Strasbourg Cedex, France.
(3)Department of Pediatric Surgery, Kannerklinik, Centre Hospitalier De Luxembourg, Luxemburg City, Luxembourg. (4)Department of Pediatric Surgery, H.U.S., Hautepierre Hospital, 67098 Strasbourg Cedex, France. Electronic address: francois.becmeur@chru-strasbourg.fr.
J Pediatr Surg. 2015 Feb;50(2):353-5. doi: 10.1016/j.jpedsurg.2014.09.081. Epub 2014 Dec 18.
【目的】:
メッシュを用いたOrr-Loygue法を腹腔鏡向け適応させた直腸固定術に触発された手術技法を紹介するとともに、小児科分野の文献で最もよく見られる鵜腹腔鏡下後方縫合直腸固定術との手技的ステップの違いを詳述する。
【手法】:
我々は1999年から2012年の間に従来法の治療で効果が得られなかった完全直腸脱に対して修正Orr-Loygue法による手術を受けたすべての子供について遡及的研究を行なった。病態、手術の手技詳細(ダグラス窩の切除、直腸壁に張力を与えないために直腸前方に非吸収性メッシュを用いて直腸を仙骨前筋膜と仙岬に保留する)、術後の結果をレビューする。
【結果】:
8人の患者が対象となり、年齢の中央値は6.5歳(年齢派には2歳から17歳)であった。手術前の症状が出ていた期間の中央値は14か月(範囲は6か月から24か月)だった。随伴症状を示した患者が4人、神経疾患(ウィリアムズ症候群)が1人、重症の栄養失調(精神的拒食症)が1人、易出血性の孤立性直腸潰瘍が1人、脊髄空洞症が1人であった。全員が全手術過程を腹腔鏡下で受け、手術時間の中央値は98分(範囲は80分から125分)であった。入院期間の中央値は3.5日(範囲は2日から5日)であった。中央値として6年間(範囲2年から13年)の経過観察期間中に術後の便秘や再発の報告はない。
【結論】:
腹腔鏡下のメッシュを用いた修正Orr-Loygue法による直腸固定術は簡易な術式であり、子どもにおける難治性の再発性完全直腸脱に対する外科的治療法としては再現性があり効果的である。術後の便秘を防止するためには張力を与えない直腸固定を行うことが重要であり、そのためには重複した直腸S字結腸部に「固定」せずにメッシュを用いて単に吊る。それにもかかわらず、術後の有害な機能障害を防ぐためには、結腸直腸の筋電図検査や肛門直腸内圧測定を含めてさらに数多くの患者が必要である。
(2015年2月)
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