ウィリアムズ症候群における代謝異常
Metabolic abnormalities in Williams-Beuren syndrome.
Palacios-Verd? MG(1), Segura-Puimedon M(2), Borralleras C(1), Flores R(1), Del Campo M(3), Campuzano V(1), P?rez-Jurado LA(1).
Author information:
(1)Genetics Unit, Department of Experimental and Health Sciences, Universitat Pompeu Fabra, Barcelona, Spain Hospital del Mar Research Institute (IMIM), Barcelona, Spain Centro de Investigaci?n Biom?dica en Red de Enfermedades Raras (CIBERER), Barcelona, Spain.
(2)Hospital del Mar Research Institute (IMIM), Barcelona, Spain Centro de Investigaci?n Biom?dica en Red de Enfermedades Raras (CIBERER), Barcelona, Spain Institut f?r Integrative und Experimentelle Genomik, Universitat zu L?beck, L?beck, Germany.
(3)Hospital del Mar Research Institute (IMIM), Barcelona, Spain Centro de Investigaci?n Biom?dica en Red de Enfermedades Raras (CIBERER), Barcelona, Spain Area de Medicina Molecular i Gen?tica, Hospital dew Vall d'Hebron, Barcelona, Spain.
J Med Genet. 2015 Feb 6. pii: jmedgenet-2014-102713.
【背景】:
ウィリアムズ症候群(WBS、OMIM194050)は多臓器に症状が現れる神経発達疾患であり染色体7q11.23領域で26個から28個の遺伝子を含む1.55から1.83Mbの欠失を原因とする。報告されている内分泌腺や代謝異常には乳児期の一過性高カルシウム血症、子どもの30%未満にみられる無症候性甲状腺機能不全、成人患者の75%以下にみられる糖耐性異常が含まれる。本研究の目的は、ウィリアムズ症候群患者のさらなる代謝異常と同時に、数種類のマウスモデルを利用して候補遺伝子の可能性を探ることである。
【手法】:
我々は154人のウィリアムズ症候群患者(パラメータ当たり69ケースから151ケースのデータが利用可能)に対して数種類の代謝パラメータを分析することと合わせて、ウィリアムズ症候群遺伝子座にある相同遺伝子を完全に、あるはそのうちのいくつかを欠失させたマウスのモデルを使って候補となる遺伝子や修飾因子を探索した。
【結果】:
対照群と比較した場合、ウィリアムズ症候群患者には血漿トリグリセリドレベルの有意な低下がみられる一方、コレステロール値はわずかに下がっている。高ビリルビン血症は、大部分が非抱合型としてウィリアムズ症候群患者の18.3%で観察され、無症候性甲状腺機能不全や高脂血症と関連があり、共通の病因メカニズムの存在を示唆している。MLXIPL遺伝子のプロ不全やUGT1A1遺伝子プロモータの低形質アリルの浸透度の上昇が脂質やビルビリンの変異の基礎を構成している可能性がある。これ以外の数値異常には無症候性甲状腺機能不全や糖耐性異常と同時にタンパク質や鉄分レベルの上昇と同時もみられる。
【結論】:
本研究結果は7q11.23領域に存在する遺伝子がプロ不全に関連し、これまで報告されていない生化学的変異がウィリアムズ症候群で共通的にみられることを明らかにした。これらの代謝異常に対する早期診断、経過観察と管理を行なうことで、この症候群における長期的合併症を防止できる可能性がある。
(2015年3月)
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