尿酸生成阻害剤(アロプリノール)療法に起因する急性赤芽球癆



この要旨の中にはウィリアムズ症候群に関連する記述が登場しませんが、この論文に関す るPubMedのキーワードとして、ウィリアムズ症候群/手術(Williams Syndrome/surgery)が あげられています。おそらくこの15才の男性患者はウィリアムズ症候群で、なんらかの手 術を受けたものと考えられます。

(1999年8月)

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Acute pure red cell aplasia associated with allopurinol therapy.

Lin YW;Okazaki S;Hamahata K;Watanabe K;Usami I;Yoshibayashi M;秋山 祐一;久保田 優
京都大学医学部発達小児科
Am J Hematol (UNITED STATES) Jul 1999, 61 (3) p209-11, ISSN 0361-8609
Languages: ENGLISH Document type: JOURNAL ARTICLE

抗けいれん剤(anticonvulsants)・抗生物質・抗甲状腺物質(antithyroid agents)などに起 因する急性赤芽球癆(Acute pure red cell aplasia:Acute PRCA)の患者について、何人かの研究 者の報告がある。尿酸生成阻害剤は再生不良性貧血を引き起こす物質として知られている が、尿酸生成阻害剤によって引き起こされたPRCAの報告はほとんどない。尿酸生成阻害剤 療法開始6週間後に貧血をおこした15才の少年について報告する。彼の貧血はその薬の使 用を止めると直ちに改善した。彼の骨髄は重度の赤血球形成不全(erythroid hypoplasia) になっており、骨髄球/赤血球比(myeloid/erythroid ratio)が18.6で、赤血球表面の抗原 反応分析の結果グリコフォリンA低下(glycophorin A)が見られた。骨髄芽玉(myeloid series)や骨髄巨大核細胞には形態的異常は見られなかった。血漿中の鉄分不足の長期化と 血漿中鉄分回復率の低減は赤血球形成不全を示唆している。彼は急性PRCAを発症する以前 にはパルボウイルス B19 (parvovirus B19)を含めて感染症にはかかっていない。これらの 結果を考慮に入れて、急性PRCAの診断を行った。尿酸生成阻害剤のこの副作用は検討され る必要がある。

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