エラスチン不全素因を有するマウスのブドウ糖代謝障害
Elastin Insufficiency Predisposes Mice to Impaired Glucose Metabolism.
DeMarsilis AJ(1), Walji TA(1), Maedeker JA(2), Stoka KV(2), Kozel BA(3), Mecham RP(1), Wagenseil JE(2), Craft CS(1).
Author information:
(1)Department of Cell Biology & Physiology, Washington University in St. Louis, MO, USA.
(2)Department of Mechanical Engineering and Materials Science, Washington University in St. Louis, MO, USA.
(3)Department of Pediatrics,, Washington University in St. Louis, MO, USA.
J Mol Genet Med. 2014 Oct;8(3). pii: 129.
ウィリアムズ症候群は7番染色体上にありエラスチン遺伝子を含む連続する大きな遺伝子欠失を原因としている。エラスチンは細胞外基質たんぱく質で高血圧や大動脈狭窄などを含むウィリアムズ症候群に関連する循環器系異常の原因である。糖尿病に対する通常のリスク要素とは独立して、ウィリアムズ症候群には大きな割合でブドウ糖耐性異常を有する患者が存在する。マウスの脂肪組織は弾性繊維を生成しているが、マウスにおける単独エラスチン不全(Eln +/-)は独立的にブドウ糖代謝や脂肪蓄積は影響を受けていない。同様に高脂血症や粥状動脈硬化のモデルである単独ApoE欠損(ApoE -/-)ではインスリン感受性には影響がない。しかし、Eln +/-とApoE -/-の両方を同時に変異させたマウスは高血糖、脂肪細胞肥大、脂肪組織炎症、肝臓組織における脂肪異所蓄積を呈した。さらに、Eln +/-とApoE -/-変異体は、体重や食事内容とは無関係にインスリン耐性検査においてインスリン耐性に顕著な異常を示しており、影響を受けやすい患者においてはエラスチン不全が代謝異常の訴因になる可能性を示唆している。
(2015年7月)
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