チャールズ・ディケンズとバーナビー・ラッジ:ウィリアムズ症候群の最初の記述
Charles Dickens and Barnaby Rudge: The First Description of Williams Syndrome?
Eblovi D, Clardy C.
Pediatr Ann. 2016 Feb 1;45(2):e67-9. doi: 10.3928/00904481-20160113-03.
ウィリアムズ症候群は遺伝子欠失を原因とする疾患であり、中程度の知的障害と比較的優れた言語機能と超社会的性格などを特徴とし、1961年に初めて医学文献に記述された。しかし、それより120年も前に、チャールズ・ディケンズはロンドンで1780年に発生したゴードン騒乱を通してある「白痴」を描いた、バーナビー・ラッジという小説を書いた。ディケンズは彼が知っていたウィリアムズ症候群患者の性格を基にしてこのキャラクターを描いたと、我々は考えている。共通する特徴には、「妖精様」顔貌、認知能力の低下、世話人への依存、優れた言語能力と強調と固執に満ちた話、不安、共感にあふれ過度に信頼してしまう性格が含まれる。小説では、これらの形質によってバーナビーというキャラクターは、だまされて騒乱に積極的に参加することになり、危うく絞首刑になるところであった。1世紀あまり後に書かれた医学論文の記述よりもはるかに詳細にこの疾患を書き記したこの創作物語の事例の存在は、医師が貴重な臨床情報を入手する際に伝統的な科学雑誌を越えた情報源を探すことを奨励しているように思える。
(2016年2月)
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