ウィリアムズ症候群において「主観的な真直ぐ」はどこにあるのか?
Where is the 'subjective straight ahead' in Williams syndrome?
Saj A(1,)(2), Heiz J(2), Barisnikov K(2).
Author information:
(1)Department of Neurology, Neuropsychology Unit, University Hospital of Geneva, Switzerland.
(2)Department of Psychology, Child Clinical Neuropsychology Unit, University of Geneva, Switzerland.
J Intellect Disabil Res. 2017 Feb 10. doi: 10.1111/jir.12358. [Epub ahead of print]
【背景】
ウィリアムズ症候群患者は視空間課題を遂行することに特定の障害があることで知られており、これは空間的相互関係を決めるための特異的な参照システムの利用に困難さがあることと関連している。
【手法】
ウィリアムズ症候群患者18人(平均年齢20.5±9.2歳)に主観的な真直ぐ課題を行なわせた結果を、歴年齢を一致させた36人の被験者からなるグループ(CA)と、非言語知的能力を一致させた30人の小さな子どもからなるグループ(YC)という健康な2群の対照群の結果と比較した。
【結果】
ウィリアムズ症候群患者は主観的な真直ぐを示す身体矢状断面表現において、歴年齢を一致させた対照群と比較して有意な左方偏位を示し、小さな子どもの対照群と比較して限界的な左方偏位があった。客観的な真直ぐ(0°)の比較においては、ウィリアムズ症候群群では有意な左方偏位を示すが、他の2群にはみられない。
【結論】
ウィリアムズ症候群患者は主観的な真直ぐ課題において有意な左方偏位を示した。この身体の縦軸表現における偏向は自己中心参照システムの利用に対して負の影響を与えている可能性があり、空間課題を遂行するにあたって必要な空間的相関関係(位置や方向)を定義することに困難があることの原因である可能性がある。
(2017年2月)
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