ダウン症候群とウィリアムズ症候群における観察による学習と試行による学習
Learning by observation and learning by doing in Down and Williams syndromes.
Foti F(1)(2)(3), Menghini D(4), Alfieri P(4), Costanzo F(4), Mandolesi L(3)(5), Petrosini L(2)(3), Vicari S(4).
Author information:
(1)Department of Medical and Surgical Sciences, Magna Graecia University of Catanzaro, Catanzaro, Italy.
(2)Department of Psychology, "Sapienza" University of Rome, Rome, Italy.
(3)IRCCS Fondazione Santa Lucia, Rome, Italy.
(4)Child Neuropsychiatry Unit, Neuroscience Department, Children's Hospital Bambino Gesu, Rome, Italy.
(5)Department of Motor Science and Wellness, University Parthenope, Naples, Italy.
Dev Sci. 2017 Dec 26. doi: 10.1111/desc.12642. [Epub ahead of print]
新たな技能は実際に経験(経験的な学習あるいは試行による学習)するか、他人の経験を見ることで学習する(観察による学習)かで習得する。一般的に言って、観察による学習は複雑な動きや行動を学習するのに必要な時間と試行の回数を減らす。本研究は、ダウン症候群とウィリアムズ症候群という異なる2種類の病因による知的障害の臨床集団において観察による学習と試行による学習の差を比較することである。その際の仮説は、各症候群において特定の学習プロフィールが存在することである。この目標のために、コンピュータを用いた観察による学習と試行による学習の課題を、24人のダウン症候群患者、24人のウィリアムズ症候群患者、24人の正常に発達した子どもに実行してもらい、既存のデータに新たなデータを加えて比較分析した。これで得られた主要な結果は、知的障害を有する二つのグループは観察による学習で特徴的なパターンを示したことである。つまり、ダウン症候群患者は、前に観察した視覚運動順序を再生することに障害があるが、一方で正常に発達した子どもと同様に試行による学習課題は効果的であった。他方、ウィリアムズ症候群患者は観察によるトレーニングのから恩恵を受けていたが、試行による学習(最初の施行)から視覚運動順序を探り出すことに障害があった。この発見は症候群特有であるという仮説を強化するものであり、知的障害の観点がある認知機能が他の症候群より障害の程度が大きく、その原因は遺伝子プロフィール脳の形態や機能の違いであることを支持している。これらの発見は、知的障害者の理療や教育のための学習プログラムを開発する際に遺伝的病因を考慮に入れるべきであるという重要な示唆を臨床医に与えている。
(2017年12月)
目次に戻る