腹腔鏡下結腸切除術を行ったWilliams症候群に合併した憩室穿孔の1例



八木 直樹、富沢 直樹、安東 立正、荒川 和久、本多 良哉、山川 隼輝
前橋赤十字病院消化器センター外科
日本臨床外科学会雑誌 78(8), 1838-1843, 2017

15歳。男児。腹痛で救急外来を受診した。幼少時よりWilliams症候群と診断され、妖精様顔貌、発達遅滞、心臓弁膜症を認めていた。腹部CT検査で消化管穿孔を疑い緊急手術を施行した。腹腔鏡下で観察すると、汎発生腹膜炎の所見でありS状結腸憩室と小腸が穿孔・瘻孔形成し、同部位の穿孔を認めた。開腹移行し、小腸を部分切除し、穿孔部を拳上し人工肛門を造設した。半年後、人工肛門閉鎖術を予定した。憩室は人工肛門を中心にS状結腸・下行結腸移行部にあり、人工肛門部を含めた憩室部分の結腸切除術を中心に腹腔鏡下に施行した。Williams症候群は、染色体7q11.23領域の欠失が原因であるとされ、エラスチンをコードするELN遺伝子が含まれている。Williams症候群はエラスチンの異常に伴い憩室症・憩室炎を発症しやすい。本邦での報告は非常に珍しいがWilliams症候群の腹痛では憩室炎を念頭に置くことが重要である。

(2018年1月)



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