胎児期に特異的顔貌からWilliams症候群を疑った1症例
森根 幹生、中奥 大地、山崎 幹雄、近藤 朱音、前田 和寿
四国こどもとおとなの医療センター
日本周産期・新生児医学会雑誌 53(2), 537-537, 2017年6月
【諸言】Williams症候群は特徴的な妖精様顔貌、精神発達遅滞、特異的な性格、大動脈弁上狭窄および末梢性肺動脈狭窄を主徴とする心血管病変、乳児期の高カルシウム血症などを有する隣接遺伝子症候群である。加齢によりとくに精神神経面の問題、高血圧が顕著になり、これらの症状に対し、生涯的に医療的、社会的介入が必要である。今回、胎児期より特異的顔貌からWilliams症候群を疑い、出生後、遺伝子検査にて診断した症例を経験したので報告する。
【症例】30歳の経産婦で、妊娠33週時に胎児発育不全のために、紹介となる。胎児超音波検査にて、軽度の発育不全(-2.0SD)と妖精様顔貌elfin face(腫れぼったい眼瞼下部、厚い上唇・下唇、長い人中、常に開口しており、舌が出ている)を認めた。大動脈・肺動脈弁輪径は正常であるも、大動脈・肺動脈弁上部狭窄が疑われた。また、左側腎低形成あるいは無形成、左側停留睾丸を認め、Williams症候群が疑われた。妊娠38週、既往帝王切開の適応にて、選択的帝王切開を施行した。出生後、FISHにて7番染色体長腕11.23の微小欠失を認め、Williams症候群と診断した。
【結語】胎児期より診断されたWilliams症候群の報告は少ないが、その特徴的顔貌は診断の一助になり、出生時からの介入が可能になるため、早期診断は重要であると考える。
(2018年2月)
目次に戻る