19歳で2型糖尿病を発症したWilliams症候群の1例
加藤 雅弘1)、野村 羊示1)、太田 宇哉1)、西原 栄起1)、倉石 建治1)、柴田 大河2)、田内 宣生3)
大垣市民病院1)
大垣市民病院糖尿病腎臓内科2)
愛知県済生会リハビリテーション病院3)
日本小児科学会雑誌 Vol122 No2 447ページ、2018年2月
【はじめに】
Williams症候群は第7番染色体長腕11.23領域にあるWilliams-Beuren syndrome critical region(WBSCR)の微細欠失による隣接遺伝子症候群である。成人期に糖尿病を発症する報告はあるが若年発症の報告は少ない。
【症例】
19歳男児。生後3か月時に大動脈縮窄、大動脈弁上狭窄症、妖精様顔貌から、Williams症候群と診断され以後当院に通院していた。14歳時に右上肢の血圧が150/86mmHgと高く、心臓カテーテル検査を行なった。血圧差22mmHgと大動脈弁縮窄の悪化を認め、下行大動脈弁人工血管置換術を施行した。16歳から測定していたHbA1cが19歳時に7.2%と上昇を認め精査となった。身長166cm、体重70Kg、BMI25.4kg/m2と軽度肥満であった。抗GAD抗体は陰性で、高脂血症は認めなかった。75gOGTTテストでは、血糖値が空腹時161mg/dL、負荷後2時間367mg/dLと高値であり、2型糖尿病と診断した。そこで食事療法を開始し、HbA1cは6.5%と正常化した。
【考察】
成人期に糖尿病を発症する割合は15%との報告がある。小児と若年成人のWilliams症候群では、HbA1cが正常でも空腹時血糖値、HOMA-IRが高値との報告がある。又、Williams症候群の原因遺伝子の中にインスリン分泌、糖代謝に関わるSTX1A遺伝子、MLXIPL遺伝子が存在し、Williams症候群は糖尿病のリスクである。本症例は19歳という若年で発症した。小児期でも糖機能異常をきたしている可能性があり、早期より定期的に評価している必要がある。
(2019年9月)
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