知的障害を有する成人のスポーツや身体活動への参加
Participation in sport and physical activity in adults with intellectual disabilities.
Borland RL(1), Hu N(2), Tonge B(1)(3), Einfeld S(4), Gray KM(1)(3).
Author information:
(1)Centre for Developmental Psychiatry and Psychology, Department of Psychiatry, School of Clinical Sciences at Monash Health, Monash University, Melbourne, Victoria, Australia.
(2)Population Child Health Research Group, School of Women's and Children's Health, University of New South Wales, Australia.
(3)Centre for Educational Development, Appraisal and Research, University of Warwick, Coventry, UK.
(4)Centre for Disability Research and Policy, Faculty of Health Sciences, University of Sydney, Sydney, New South Wales, Australia.
J Intellect Disabil Res. 2020 Oct 1. doi: 10.1111/jir.12782. Online ahead of print.
背景:知的障害者は身体活動に参加するにあたって数多くの困難に直面している。本論文では、オーストラリアの成人知的障害者をサンプルにしてスポーツや身体活動への参加割合を測定し、オーストラリア人母集団の参加割合と比較することを目的としている。二番目の目的は成人の知的障害者の参加を後押ししている要素を調査することである。
手法:被験者はオーストラリア児童成人発達研究(the Australian Child to Adult Development (ACAD) stud)の一部で構成されており、地域社会を構成するサンプルとして知的障害者(n=305)で構成されている。構成するグループとして、自閉症の成人(n=94)、ダウン症候群(n=64)、脆弱X症候群(n=52)、ウィリアムズ症候群(n=45)、プラダー・ウィリー症候群(n=30)が含まれる。スポーツや身体活動への参加は過去3カ月の期間を対象に報告された。知的障害の成人の参加割合の数値が報告され、オーストラリア人の母集団サンプルの割合と比較された。身体活動への参加と、年齢・知的障害の程度・身体可動性・生活状況・社会経済的な不便性・行動や感情面の問題などとの間の相関も調べた。
結果:オーストラリア児童成人発達研究の対象となった地域社会の知的障害を持つ被験者がスポーツや身体活動へ参加する割合は、オーストラリア人の母集団に比べて低い(42%対71%)。身体的な可動障害を有していないことが、参加率の高さと有意に関連していた。ダウン症候群の人がスポーツや身体活動に参加する割合は、知的障害を持つ地域社会の母集団よりも高い一方、自閉症やその他の症候群にはスポーツや身体活動へ参加する割合にグループ間で差は見られなかった。
結論:オーストラリアの知的障害の成人は母集団に比べてスポーツや身体活動へ参加する割合が低い。身体的な可動障害を有していることは参加割合の低さと関連がある。しかし、支援住宅に居住する人々はその他の住環境に暮らす人に比べて参加しやすい傾向がある。ダウン症候群の人は地域社会のサンプルに比べて参加率が高い。
(2020年10月)
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