ウィリアムズ症候群における肺機能:イタリア人患者22人の肺気量検査データ



Pulmonary function in Williams-Beuren syndrome: Spirometric data of 22 Italian patients.

Pangallo E(1), Cianci P(2), Favuzza F(2), Milani D(3), Vimercati C(4), Moretti A(1), Picchi R(2), De Paoli A(2), Agosti M(1), Selicorni A(2).
Author information:
(1)Pediatric and Neonatology Department, Hospital "F. Del Ponte", University of Insubria, Varese, Italy.
(2)Pediatric Department, ASST-Lariana, Sant'Anna Hospital, San Fermo della Battaglia, Como, Italy.
(3)Highly Intensive Care Unit, Fondazione IRCCS Ca' Granda Ospedale Maggiore Policlinico, Milan, Italy.
(4)Pediatric Department, Fondazione MBMM San Gerardo Hospital, Monza, Italy.
Am J Med Genet A. 2020 Nov 10. doi: 10.1002/ajmg.a.61966. Online ahead of print.

ウィリアムズ症候群はエラスチン遺伝子(ELN)を含む7q11.2領域のハプロ不全が病因である。エラスチンの欠乏は 肺気腫/慢性閉塞性肺疾患(COPD)の病態生理学的メカニズムとして知られている。先行研究によってウィリアムズ症候群患者における慢性閉塞性肺疾患のリスクが高いという仮説が提唱されている。ここで、この事象をさらに調査し、慢性閉塞性肺疾患とウィリアムズ症候群の関連の有無を調べた。動的肺気量(努力性肺活量(forced vital capacity)[FVC]、1秒量(FEV1)、1秒率(FEV1/FVC))を22人にウィリアムズ症候群患者で計測した。患者は遺伝子検査で確定診断を受け、これらのパラメータに関係して呼吸器系リスク要素を有している。呼吸困難、咳、喘鳴音が22人中6人の患者(27%)で検出された。閉塞パターンと拘束性パターンはそれぞれ22人中6人(27%)と2人(9%)の患者で検出されたが、不可逆的閉塞の証拠は見られなかった。努力性肺活量、1秒量、1秒率の平均値はすべて正常で、値はそれぞれ91.3% (n.v. > 80%)、84.2% (n.v. > 80%)、0.82(n.v. > 0.7)であった。併存疾患の重症度は、降圧薬を投与された患者のほうが呼吸機能はより悪いにもかかわらず、呼吸パターンに関連する因果関係を示していない。我々が得た知見はこれまでの初見、すなわち肺気腫/慢性閉塞性肺疾患はウィリアムズ症候群の若い患者に見られる典型的症状ではないことと一致している。しかし、呼吸機能検査はウィリアムズ症候群患者、特に降圧薬を投与する治療を受けている青年や若い成人の患者の経過観察時に含めるべきである。

(2020年11月)



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