ダウン症候群とウィリアムズ症候群における酸化ストレス:概要



Oxidative Stress in Down and Williams-Beuren Syndromes: An Overview.

Ferrari M(1), Stagi S(1).
Author information:
(1)Department of Health Sciences, University of Florence, Anna Meyer Children's University Hospital, 50139 Florence, Italy.
Molecules. 2021 May 24;26(11):3139. doi: 10.3390/molecules26113139.

酸化ストレスは細胞や組織における酸化還元状態の不均衡の結果でおこる。生理学的信号に重要な遊離基が生成され、その量が抗酸化能力を超えると、高分子にたいする酸化ダメージや異常な情報伝達や炎症などの病理学的症状が発生することがある。ダウン症候群やウィリアムズ症候群はよくみられる多臓器に影響がある遺伝子疾患である。これら症候群の病因は重要な原因遺伝子の酸化ストレスと関連している。すなわち、SOD-1とNCF-1であり、それぞれこれらの症候群の酸化還元状態の制御に主に関わっている。早老症、認知症、自己免疫病、慢性炎症などが酸化ストレスに合併して発症する代表的な主要症状である。この何十年かの間に、これらの症状の病因に対する酸化ストレスと炎症の役割の可能性に関して注目されることが増えた。しかし現在のところ、これらの関連を対象とする研究はほとんど行われていない。ダウン症候群とウィリアムズ症候群に焦点を当てた遺伝子症候群における酸化ストレスと酸化ダメージの役割に関する文献の概要を提供する。これらの疾患に関連する合併症の管理を改善することにつながる新たな気付きを提示できることを望んでいる。

(2021年6月)



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