2B型多発性内分泌腫瘍症を有する乳児の過剰内分泌表現型:日本人患者6人の症例シリーズ



Extra-endocrine phenotypes at infancy in multiple endocrine neoplasia type 2B: A case series of six Japanese patients.

松下 理恵(1), 櫻井 晃洋(2), 南谷 幹史(3), 山崎 雅則(4), 内野 眞也(5).
Author information:
(1) 菊川市立総合病院小児科
(2) 札幌医科大学遺伝医学
(3) 帝京大学ちば総合医療センター小児科
(4) 信州大学医学部医学科内科学第四教室 (糖尿病・内分泌代謝内科)
(5) 野口病院外科
Clin Pediatr Endocrinol. 2021;30(4):195-200.doi:10.1297/cpe.30.195.Epub 2021 Oct 1

2B型多発性内分泌腫瘍症は非常に珍しい疾患であり、大部分の症例は新規のp.Met918Thr RET変異を原因とする。2B型多発性内分泌腫瘍症における甲状腺髄様癌は生後1才までに診断されれば予後は良い。しかし、生後1才までに2B型多発性内分泌腫瘍症の診断を行うことは、新規発生の確率が高いこと、初期診断の手助けになると思われる過剰内分泌兆候は明白性ではないことなどから非常に困難である。ここで、p.Met918Thr RET変異を有する2B型多発性内分泌腫瘍症である日本人子ども患者6人の症例を提示する。質問紙を使って探索的なデータ抽出を実施した。患者は年齢中央値が11歳(6歳から19歳)の時点で甲状腺摘除術を受けている。6人中4人の患者が出生時に合併症はないものの新生児入院を経験し、3人は乳児期に神経芽細胞腫のスクリーニング検査で陽性だった。患者は1歳になる前に2B型多発性内分泌腫瘍症に関する少なくとも一種類の症状を呈していた。これには、神経節神経腫、偽性ヒルシュスプルング病、無涙症、でこぼこの口唇、吸乳困難、筋緊張の低下、さらにはウィリアムズ症候群やプラダー・ウィリー症候群などの他の合併症の疑いも含む。この症例シリーズは、B型多発性内分泌腫瘍症は生後1歳までにいくつかの過剰内分泌症状を通じて現れることを示している

(2021年10月)



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