35歳のウィリアムズ症候群患者に合併した腸憩室炎:症例報告



Complicated Diverticulitis in a 35-Year-Old Patient With Williams Syndrome: A Case Report.

Raber MM(1), Bowling SM(1), Dorn M(2).
Author information:
(1)Department of Surgery, Edward Via College of Osteopathic Medicine, Blacksburg, USA.
(2)General Surgery, Johnston Memorial Hospital, Abingdon, USA.
Cureus. 2022 Jul 6;14(7):e26604. doi: 10.7759/cureus.26604. eCollection 2022 Jul.

ウィリアムズ症候群は第7染色体上のエラスチン遺伝子の欠失を原因とする。この遺伝子の主要な役割の一つは腸管壁の強靭さと弾性を維持することであり、エラスチン遺伝子の欠損はその患者を腸憩室炎のような消化器系の病気に罹りやすくする。我々が診た患者は35歳のウィリアムズ症候群を有する白人女性で、2日間にわたる広範性腹痛を主訴に救急治療部に受診した。最初に患者の腹部と骨盤部をCTスキャンしたところ、S字結腸の憩室炎の部分的穿孔があり骨盤の化膿巣と急性骨盤内腹膜炎を伴っていた。この患者は保存療法への反応が悪く効果がなかったことから外科手術処置の適応となった。彼女はハルトマン術式で治療され、手術中に腹膜化膿液を呈した。術後に腸閉塞と手術傷周囲の化膿を発症したことから入院経過は複雑であった。15日間入院したのち、6か月の予定でストーマ閉鎖術を行って自宅へ退院した。ウィリアムズ症候群の患者は、子供じみた食習慣と食物繊維の摂取量が少ないことから慢性便秘症を生じる傾向があり、このために母集団に比べて低年齢で腸憩室炎を呈するリスクが高まっている。このことから、ウィリアムズ症候群患者の腸憩室炎の予防目的で便秘を治療することの重要性を強調しておきたい。この患者が急性腸憩室炎で救急治療部に運ばれてきた場合、急速に悪化することが予期されることから、積極的な外科治療が有効である。

(2022年8月)



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