ウィリアムズ症候群とメチルマロン酸血症を併発した小児患者への臓器移植を臨床的な成功に導くためには集学的なアプローチが必要である
Transplantation in paediatric patients with MMA requires multidisciplinary approach for achievement of good clinical outcomes.
Paessler A(1)(2), Cortes-Cerisuelo M(3), Jassem W(3), Vilca-Melendez H(3), Deep A(3), Jain V(3), Pool A(3), Grunewald S(1), Kessaris N(4), Stojanovic J(5).
Author information:
(1)Great Ormond Street Hospital for Children NHS Foundation Trust, Great Ormond Street, WC1N 3JH, London, UK.
(2)University College London Great Ormond Street Institute of Child Health,London,UK.
(3)King's College Hospital NHS Foundation Trust, London, UK.
(4)Guys and St Thomas' NHS Foundation Trust, London, UK.
(5)Great Ormond Street Hospital for Children NHS Foundation Trust, Great Ormond Street, WC1N 3JH, London, UK. jelena.stojanovic@gosh.nhs.uk.
Pediatr Nephrol. 2023 Feb 25. doi: 10.1007/s00467-023-05906-0. Online ahead of print.
背景:最新医学の発展に伴い、より低年齢で小さく、より複雑な子どもが多臓器移植の候補になってきている。このことは彼らに対するケアの全側面で新たな課題を提起する。
手法:ウィリアムズ症候群とメチルマロン酸血症の基礎疾患を有する小児患者が肝腎同時移植と腹直筋外套筋膜移植を受けた初めての症例を報告する。患者は移植時点で3歳、体重が14.0sであり、ステージVの腎臓病を有しており、その他の形式の腎臓補充療法は開始していなかった。
結果:本症例に関して考慮すべき課題が、麻酔・内科・内分泌・外科など数多く存在した。長時間の全身麻酔は循環器系の合併症や内分泌系の代償不全を引き起こすリスクを増大させる。それに加えて患者の身体が小さいことと臓器の大きさが適合しないことから一次腹部閉鎖は不可能であった。患者の回復は、敗血症、一過性カルシニューリン阻害薬毒性、新生ドナー特異的抗体等のために複雑になった。
結論:イングランドとウェールズにある4箇所の医療機関に勤める9人の専門家間の集学的なアプローチと詳細な術前計画によって本患児は良い結果を得られた。移植および後述する5つの分野を遂行するための時間単位の管理計画が立案された。すなわち、1.臓器提供時点の管理、2.入院前、3.入院と手術前、4.術中管理、5.術後24時間の管理である。重要なことは、術前および術中の患者の内分泌状態を明確で深く理解することであり、これによって内分泌系の代償不全が回避可能になる。さらに、腹直筋外套筋膜移植は腹部閉鎖を実施することが必須であり、これは我々が知りうる限りでは、本症例以前に実施されたことはない。複雑な本症例で得た我々の経験、およびメチルマロン酸血症を有する他の患者における移植経験、文献レビューなどを合わせて、このように複雑な移植患者コホート集団に対する新たな周術期管理経路を提案する。
(2023年3月)
目次に戻る