ウィリアムズ症候群の患者におけるエラスチン遺伝子の欠失が皮膚の弾性繊維沈着の変異と臨床的には観察できない皮膚の表現型
Elastin Gene Deletions in Williams Syndrome Patients Result in Altered Deposition
of Elastic Fibers in Skin and a Subclinical Dermal Phenotype.
Urban Z, Peyrol S, Plauchu H, Zabot MT, Lebwohl M, Schilling K, Green M, Boyd CD, Csiszar K
Pacific Biomedical Research Center, University of Hawaii, Honolulu, Hawaii;
Universite Claude Bernard, Lyon;Hotel-Dieu Hospital, and Hopital Debrousse, Lyon, France;
Mount Sinai Medical Center, New York, New York,
and Unilever Research, Edgewater, New Jersey.
Pediatr Dermatol 2000 Jan;17(1):12-20
ウィリアムズ症候群は7番染色体のq11.23領域の微小欠失を起因とし、多臓器が影響を受
ける複雑な発達障害である。この欠失にはエラスチン遺伝子を含む複数の遺伝子が含まれ
いる。エラスチン弾性繊維は皮膚の重要な構成要素であるにもかかわらず、ウィリアムズ
症候群の患者における皮膚の表現型はほとんど解明されていない。そこで我々はエラスチ
ン遺伝子の片方のコピーが欠失していることが確認されている4人のウィリアムズ症候群
患者の皮膚を調査した。身体検査とエラスチンの間接的免疫蛍光顕微鏡検査(indirect
immunofluorescent microscopy)では主たる皮膚の表現型的・形態的異常は発見できなかっ
た。しかし、電子顕微鏡を使って次のような皮膚の微細な組織構造的変異を明らかにした。
つまりウィリアムズ症候群患者のエラスチン繊維の無構造要素が正常な対照群に比べて一
貫して減少しることである。エラスチン遺伝子のコピーの片方が欠失した結果、本研究で
調査した子供及び成人の患者における、皮膚の弾性繊維へのエラスチン沈着の減少、弾性
繊維の微小構造の変異、臨床的には観察できない皮膚の表現型が現れることを明らかにし
た。
(2000年3月)
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