S状結腸憩室炎から回腸S状結腸膀胱瘻を発症し一期的手術を行ったWilliams症候群の1例



木井 修平1)、下國 達志1)、蔵谷 勇樹1)、藤好 直1)、西川 眞1)、小池 雅彦1)、中西 勝也2)
1)独立行政法人地域医療推進機構札幌北辰病院外科
2)独立行政法人地域医療推進機構札幌北辰病院病理診断科
日本消化器外科学会雑誌 56 (9), 504-510, 2023-09-01

症例は37歳の男性で,幼少時にWilliams症候群と診断され近医に定期通院していた。持続する血膿尿と頻尿を主訴に当院泌尿器科を受診した。腹部CTでS状結腸癌による膀胱浸潤が疑われ,当院消化器内科に紹介された。精査の結果,S状結腸憩室炎による回腸S状結腸膀胱瘻の診断で当科に紹介となった。術中所見で下行結腸,S状結腸に多発憩室を認め,開腹左半結腸切除術,小腸部分切除術,膀胱部分切除術を行った。経過良好で術後11日目に退院した。Williams症候群は染色体7q11.23の微小欠失が原因の比較的まれな疾患である。エラスチンの異常に伴い大腸憩室症を発症しやすいが,大腸憩室炎から回腸S状結腸膀胱瘻を生じた報告例はまれである。心血管系の合併症から麻酔リスクがあること,精神発達遅滞や不安障害の頻度が高いことなどが,周術期の管理に留意すべき点と考えられた。

(2024年3月)



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