ウィリアムズ症候群及び大動脈弁上再狭窄症患者の歯科治療のための外来全身麻酔:症例報告
Ambulatory General Anesthesia for Dental Treatment in a Patient With Williams Syndrome and Supravalvular Aortic Restenosis: A Case Report.
筒井 友花子(日本歯科大学), 泉川 仁美(柏市医療センター), Itakura M, 砂田 勝久(日本歯科大学).
Anesth Prog. 2025 Dec 9;72(4):241-245. doi: 10.2344/24-0032.
ウィリアムズ症候群は、知的障害、特徴的な頭蓋顔面の症状、歯の異常、そして先天性心疾患、特に弁の上部が狭くなる大動脈弁上狭窄を伴う先天性遺伝子疾患である。ウィリアムズ症候群患者は周術期突然性心臓死のリスクが高まるため、徹底した心血管評価が必要である。さらに、小顎症や下顎後退症などの頭蓋顔面異常は気道管理を困難にし、覚醒時の挿管を必要とすることが多い。しかし、覚醒時の挿管や入院治療は、発達上の課題があるウィリアムズ症候群患者にとっては苦痛を伴うことがある。これらの事実は、外来で全身麻酔の術前評価を行う際に心血管合併症や気道障害のリスクが低い患者を特定する重要性を示している。本症例報告書は、9歳のウィリアムズ症候群男児が外来全身麻酔を受ける歯科治療のために、心筋への酸素供給と心血管変動を最小限に抑えるための需要のバランスを維持し、気道管理に細心の注意を払うことで成功裏に麻酔管理を行ったことを詳述する。我々の症例は、ウィリアムズ症候群患者に対する外来全身麻酔の実現可能性と安全性を示し、入院ストレスを最小限に抑えて患者の安全を確保できることを示している。
(2025年12月)
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